メディカル英語<視診・触診>痛みの確認フレーズ
可動域の確認の際に、一緒にやることはありますか?
私は、痛みの確認をします。
自動での可動域確認、受動での可動域確認、どちらにも使えるフレーズを紹介します。
と、その前に可動域に関する基礎単語も少しだけ紹介します。
可動域の基礎単語
自動の可動域
Active Range of Motion (AROM)
自分で動かして動かせる範囲のことです。表記としては、AROMと書きますが、実際に英語で話す時には、「アクティブ レンジ オブ モーション」と発音します。Range of Motion自体、ROMと表記されますが、同様にロムとは言いません。
一般的に、次のPROMよりは動く範囲が狭くなる傾向があるのと、可動域を確認したい関節以外が動いてしまう代償運動に注意する必要があります。
受動の可動域
Passive Range of Motion (PROM)
Relax for me.
Relax your shoulder completely.
Give me your leg.
Let me move your neck.
Don't help me.
トレーナーや治療家など、他人が患者の体を動かす形で関節が動く範囲のことです。Passiveは「受動的な」とか「抵抗しない」という意味です。なので、患者さんは体の力を抜いてされるがままでいるように指示しましょう。
指示する時に使えるフレーズは下の4つです。
上から、「リラックスしてください」「肩を完全にリラックスしてください(力を完全に抜いてください)」「私にあなたの脚をください(脚を預けてください)」「私にあなたの首を動かせてください」「力を入れないでください(私を助けないでください)」です。
可動域を確認しようとすると、自然と力が入ってしまう人が多いので、そんな時はこれらのフレーズを使いましょう。
痛みの確認フレーズ
痛みはありますか?
Do you have pain?
Do you feel pain?
Do you have pain with this/that?
Any pain with this/that movement?
上の二つは、単純に「痛みはありますか?」と聞いています。
AROMでもPROMでも動作をやってもらった後に、この4つのフレーズどれでも使ってもらえれば、「この動作で痛みありますか?」と聞いていることになります。
具体的には、例えば"touch your toes"と言って、患者さんが前屈してくれたら"Do you have pain with this?"と聞くと、yesかnoで返してくれると思います。
痛みがあると一言に言っても、例えば前屈して最終可動域に行った時に痛いのか、前屈から身体を起こしてくる時に痛みがあるのかなど深掘りする必要があるケースもありますよね。
ケースバイケースですし、全てのフレーズをカバーできるわけではないですが、下にいくつか代表的なものを紹介しておきます。
どこで痛みを感じますか?
Where do you feel pain? here, here, or here?(実際に動作をやりながら)
Where in the motion do you feel pain?
When do you feel pain?
可動域確認や動作確認をして、一個前の「痛みはありますか?」にYesと答えられたら、深掘りする第一歩としてこのフレーズが使えます。
Whereはどこでという意味の言葉ですが、動きの中の"どこで"痛みがありますか?と聞くフレーズです。
Where do you feel painだけ聞いてしまうと、「膝(体の部位)のどこに痛みがありますか?という意味に取られてしまう可能性があります。なので、この聞き方をする時には、実際に動きを自分でやりながら、「(スタートの位置で)ここですか?(完全屈曲位で)ここですか?(戻しながら)それともここですか?」と聞いてあげると、患者さんは「あ、この人は動きの中のどこで痛みがあるか聞いているんだ」と伝わります。
この勘違いを減らすために、一つ言葉を足すとしたら、上から2つ目のフレーズで、in the motionをwhereの後に入れましょう。そうすることで、「動きの中のどこで」とはっきり質問することができます。
あとは、whenを使うと、動きの中でいつ痛いのかを聞くことができます。
動かすこと(動き全部)が痛いですか?
Do you feel pain throughout the motion?
Do you have pain from the start to the finish?
Do you feel pain from the beginning till the end of the motion?
一番よく使うのは一番上のフレーズです。"throughout"で「〜の間中ずっと」とか「初めから終わりまで」という意味です。なので、例えば肩関節の挙上と伸展(上からおろしてくる動作)をやってもらってから上のフレーズを使うと腕を上げ始めてから下しきるところまでの動き全部が痛いですか?と聞いていることになります。
一つ前の「動きの中のどこが痛いですか?」という質問にくっつけると、「動きの中のどこが痛いですか?それとも動きを通して全部が痛いですか?」と包括的な質問ができます。Where in the motion do you feel pain? is it throughout the motion?といった感じです。
動きの最後が痛いですか?
Do you have pain just at the top/bottom?
Do you have pain only at the top/bottom?
Do you feel pain only at the end of the motion?
Do you feel pain only when you bend/extend your elbow all the way?
is the pain only there when you fully flex/bend/extend your knee?
justやonlyを使って、「〜の時だけ」ということを強調して聞くことができます。例えば、肩関節の屈曲を最後までやると腕は上に上がるので、その時、肩関節屈曲の最終可動域に痛みがあるかを聞く時には「腕が一番上(top)に行った時だけ痛みがありますか?」という聞き方になるので、at the topにして聞きます。他には、前屈で言えば体が一番下(bottom)に行った時が最終可動域なので、at the bottomにして聞きます。
3つ目が一番汎用性が高い聞き方になります。「動きの最後だけが痛いですか?」という聞き方です。
あとは、可動域確認のフレーズでも紹介しましたが、all the wayは最後までという意味なので、上から4つ目のフレーズは「肘を最後まで曲げた時だけに痛みがありますか?」という聞き方になります。
fullyは「全部」「最後まで」「完全に」という意味の副詞です。なのでこれを動詞にくっつけると、完全に伸展するとか完全に屈曲するなどという意味にできます。つまり、最後のフレーズは「あなたが膝を完全伸展した時にだけ痛みがありますか?」という意味になります。
これらのフレーズを、可動域確認をしている関節の名前や動きを当てはめて使いまわしてみてください。
曲げる動作が痛いですか?(求心性収縮: concentric contraction)
Is your pain there only when you bending your elbow, not extending it?
Do you have pain only on the way to the bottom, not coming up?
Do you feel pain from here to here, not coming out of this position?(実際に動作をやりながらor指でさしながら)
これは、必ずしも曲げる動作を聞いているわけではないのですが、確認している可動域の前半部分、つまり大体のケースにおいての求心性収縮の部分に痛みがあるかどうかを確認するフレーズです。
なので、上から2つ目のように、前屈で使う場合は、「下に向かう時にだけ痛みがあって、身体を起こしてくる動作では痛みはないですか?」という意味のフレーズになります。
もしくは、上から3つ目のフレーズのように、実際に自分が動作をやりながら「ここからここまでの動作で痛いですか?このポジションから戻る時は痛くないですか?」と聞くと、どこのことをhereと言っているのかがはっきりします。患者さんが動かしてくれている時に、指でさす(or触りながら)、「ここからここまで」という表現をする方法もあります。
最大屈曲/伸展から戻し始めが痛いですか?
Is there pain when you come out of the position?
Do you feel pain only when you're coming out of fully bent/extended position?
ポイントはcome outです。日本だと「出てくる」という意味ですが、あるポジションから出てくる、つまり、そのポジションを取るのをやめるというニュアンスになります。例えば、TKEの名前で有名なtotal knee extensionのように、膝の完全伸展から力抜く時、膝が曲がり始める時が、膝が完全伸展されているポジションから出ていくというニュアンスになるので、coming out of fully extended positionという表現になります。
伸ばす動作が痛いですか?(遠心性収縮:eccentric contraction)
Is your pain there only when you extending your elbow, not bending it?
Do you have pain only on the way back from the bottom, not going down?
Do you feel pain from here to here, not going into this position?
求心性収縮で痛みがあるかどうかのフレーズの真逆にするだけです。
まとめ
基本的には、「痛みはありますか?」と「どこで痛みを感じますか?」の2つをまず使って痛みの確認することが多いと思います。
最初のざっくりした質問に対してyesであれば、その痛みについて深掘りするためにその他のフレーズを使うのがスムーズではありますが、すでにもう痛い動作が問診によってわかっている場合には、最初から深掘りするフレーズを使うのも一手です。
英語で評価したり、トリートメントをするのは慣れないことだと思いますが、基本的には話す言語が変わるだけで、治療家やトレーナーとしての評価方法が英語になったから変わるわけではないと思います。
英語に気を取られずに、自分がやりたい評価をやることは大前提で、それをどう英語で行うかというふうに考えると自分がよく使うフレーズなどを集中的に覚えることができるかなと思います。
たくさんフレーズはありますが、全部覚えようとして結局全てが中途半端になるのは勿体無いので、ぜひ最初は自分が使うであろうものに絞って、一つずつ覚えて、使ってみてください!
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