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沁みる、蕎麦。
不定期連載?
第4回
海老天そば。
沁みる〜。
それが第一声。
出汁の味わいが、沁みる。
そばに詳しくない自分にも、沁みる。
手打ち麺とのことで、想像より細く、薄く、平たい麺がつゆとよく絡んでいる。
柔らかくてちょっと掴みにくいぐらい、絡んでいる。
そして直前に注文変更した海老天が、とても熱い。
アツッ。アツッ。
久々に繊細な塩っぱさを口にした。
おそばが届くと、店内はそばを啜る音と、遠くから聴こえるラジオの音以外何も聴こえなくなる。
少し遠い席で、遠慮がちに話していた上司と部下も無言になる。
ズズーッ。
ススーッ。
そばを啜る音だけが、店内に響いている。
出来立ての海老天そばは想像以上に熱い。
私は、電車を一本遅らせることに決めた。