メンタルの病気を治すには病名を知ること
メンタルの病気になった。なんとか治したい。でもなかなかよくならない。繰り返してしまう。何度も会社を休んでいる。そんな、メンタルの病気を治したいあなたへ。
病気を治すには、自分の病気が何なのかを知ることが重要です。
「何を当たり前のことを」「そんなことわかってる」という方も多いと思います。
しかし、私が病院で出会う方の多くは、自分の病気のことをよくわかっていません。
なぜ自分の病気がわからないのか。双極性障害、発達障害というふたつの病気をもとにみていきたいと思います。
1.双極性障害の場合
双極性障害とは、躁状態という気分がハイになる状態と、うつ状態という気分が落ち込む状態を繰り返す病気です。I型とII型があり、前者のほうが気分の波が大きく、後者の方は波が小さいです。
なぜ、この病気が自分ではわからないとなるのか。これには明確な理由があります。「躁状態」のときの自分は「好調である」と認識しているためです。
躁状態のとき、本人に起こることは、「次々にアイデアがわく」、「なんでもできるような気持ちになる」、「活発に活動できる」、「寝なくてもいい」といったことです。そして、うつ状態のとき、本人に起こることは、「アイデアがわかず意欲もない」、「なにもできる気がしない」、「活動できない」、「寝るしかないもしくは寝たくても寝られない」です。
つまり、躁状態=好調であると認識し、このことを診察場面で主治医に話す必要がないんです。「最近元気です」とだけお話しして終わりです。
しかし、躁状態のあとには、必ずうつ状態がきます。そのときに診察で「うつでしんどいです」と訴えます。つまり主治医は、「この人はうつでしんどい」という情報しか入らないことになります。
そうなると、うつ病の治療が行われるわけですが、病気そのものが違うので、治療が合っていません。当然ですが処方される薬も違います。なので、よくならない。
「それは先生がしっかり聞かないせいでしょ」と思うかもしれません。でも、ご本人が問題だと思っていないこと、変だなと思っていないことを伝えることがなければ、主治医もなかなかわかりようがありません。
ですから、自分の心と体に変化が起こっている場合は、それを良い悪いで判断せず、変化があったことそのものを伝えることが大切です。
2.大人の発達障害の場合
ここ最近、非常に増えていると思います。ASD、ADHDという言われ方をします。ASDであれば、一例として、周囲の空気が読みづらい、他者とのコミュニケーションがうまくいかない、物事に固執してしまうなどの特性があります。ADHDというであれば、一例として、衝動的に活動してしまう、複数の仕事がくると混乱する、計画的に物事を進めるのが苦手、といった特徴があります。それ以外にも、音や光に過敏、忘れ物が多いなど、人によって特徴は様々で、その度合も人それぞれです。
特性を活かすことができれば、能力を存分に発揮できます。しかし、組織の中でうまくご自身の特性が活かせない部署に所属した場合に、適応できずにメンタル的にしんどくなることがあります。
この場合にも、ご自身がどういう特性をもっているかを把握することが何よりも回復の助けになります。何が得意で、何が不得意なのか。それはなぜ生じているのかということがしっかりと理解できれば、対処が可能になるからです。
しかしながら、「発達障害」という言葉のせいもあってか、なかなか受け入れられない場合も往々にしてあります。
#障害なんて言い方をやめればいいのにと思いますが・・・
まずは、ご自身で発達障害にあてはまるような特性があるかどうかを考えてみることが大切です。人は少なからず「自分が正しい」と思っていたり、「自分が標準である」と思っています。ですから、「意外と自分は人とは違うのかも?」という視点をもって、主治医に「どういう経緯でしんどくなったのか」を話してみることをおすすめします。何が起きたのか、自分はどう感じたのか、周りはどうだったのか、など。おそらく主治医の先生は、何かを感じ取ってくれると思います。
また、中には「昔から何か人とうまくいかなかった」、「昔から忘れ物が多かった」などと昔から気になっていたことや困りごとをもっていたという方もいるかもしれません。それは非常に重要な情報ですので、「こんなこと言ってもいいのだろうか」などと思わず、素直に主治医に伝えてみてください。治療において、ものすごく大きな情報になります。
今は、様々な治療法がありますので、発達障害が原因であるかどうかがわかるだけで、随分と回復の近道になると思います。
今日は、双極性障害、発達障害というふたつの病気をベースに、自分の病気を理解することの大切さについてお伝えしました。
この記事が少しでもみなさまのお役に立てればうれしく思います。最後までお読みいただきありがとうございました。