ネアンデルタール人を改めて振り返る
ネアンデルタール人と言えば、人類との戦いに敗れた旧人類(ヒト属の1種)、というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
改めて、ネアンデルタール人についての記事がつい最近も出ています。何となくですが、最近よく見かけます(ターゲティング広告でなく)
おそらく、今改めて注目されている背景の1つは、2022年度のノーベル賞受賞かもしれません。
生理学・医学賞で受賞したスバンテ・ペーポさんは、古代人ゲノム解析がその受賞理由です。過去の投稿記事を引用しておきます。
最近も、某技術系メディアで10大ブレークスルーで「古代DNA解析」が選ばれました。
ということで、改めてネアンデルタール人の特徴と謎について冒頭記事と関連情報を組み合わせて触れてみます。
まず、系統から見てみます。少々細かいですが冒頭記事引用しておきます。
我々ホモ・サピエンスよりもはるかに昔から存在し、そして4万年ごろに絶滅したとされています。
ただ、古代DNA解析の結果、今でも我々のDNA内に大体4%弱ほど彼らの遺伝子が含まれている、つまり種の間で交配も行われていたことがほぼ明らかになっています。
「ほぼ」と書いたのは、細かい突込みもある、ということで過去の投稿記事をでさらっと流しておきます。
初めて「交雑」という事実を聞いたとき、衝撃を受けたのを覚えています。ちなみにそのとき読んだ本は下記で、ペーポ教授も登場します。
ネアンデルタール人は、ユーラシア大陸、特に西欧あたりから徐々に東方に進出し、過程でホモサピエンスと接触しました。(とみられている)
両者の見た目は似ていますが、ホモサピエンスよりも体格もしっかりしていて体力としては勝っています。
肉食中心ですが、植物も食べており、どうも彼らは「共食い」も行っていたようです。
誤解してほしくないのは、これはネアンデルタール人特有でなく、当時の初期人類や他の動物でも行われていた行為であり、かつ研究者によっては栄養補助以外の意図(宗教的な意味合い等)の可能性も指摘しています。
むしろネアンデルタール人は野蛮というイメージは昔のもので、今では芸術的・科学的(薬草を使った痕跡)な行為を行っていたこともある程度分かっています。
古くは10万年以上前から存在するため、ホモサピエンスと接触する前の時代です。1つだけ関連記事を紹介しておきます。
最後に、やはり大いなる謎としてそびえたつのが「どうして絶滅したのか?」です。
未だに諸説あり、下記で冒頭記事であげたものを箇条書きにしておきます。
1.現生人類との食物・住居獲得競争に敗れた(武器保有も原因)
2.自然淘汰
3.気候変動(特に中央ヨーロッパの寒冷化)
以前は1のイメージが強かったですが、であれば交雑していた、という事実とどうもかみ合わず、個人的には2で、しかも単にネアンデルタール人は絶対数が少なかったのではないかなと推測しています。
別の見方をすると、ホモサピエンスは近縁の種族との交配も積極的に行ったところが、生存し続けて知性とういう高度な能力を獲得した背景にあるのかなと想像しています。
我々の「繁殖力」を支える根っこがどんな能力または遺伝子なのかは分かりませんし、もしかしたら因果関係はなく、結果論なのかもしれません。
ただ、ネアンデルタール人との交雑は、やはり色々と想像を膨らますことが出来、人類の起源/繁栄の原因に対する仮説を豊かにしてくれます。