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何十億年も宇宙をさまようゴースト

昔オカルトが流行っている時代があり、幽霊(ゴースト)は地上ではある意味有名人(?)です。

どうも宇宙にもゴーストが確認されたらしいです。

ようは、
どの銀河にも属さない恒星群、ゴーストライトが何十億年も前から存在していたことが判明した、
という話です。

ゴーストライト、専門的には「銀河団内光(intracluster light)」と呼ばれるそうです。

ゴースト発見は結構古く、1951年に天文学者フリッツ・ツビッキーが観測を報告しています。(タイトル画像はWikiから引用)

この方、天文学では知る人ぞ知る有名人です。

今回もそうですが、実は史上初の偉業を他にも実現しています。

例えば、星の最後で重力崩壊をして光り輝く「超新星(Super Nova)」(ブラックホールの一歩手前)も彼が初めて本格的に解明し、そして名付け親となりました。

さらにすごいのが、今の宇宙の最大級ミステリー「ダークマター(暗黒物質)」の存在を初めて唱えたのも実は彼なのです。
早くも1930年代にその存在を示唆していました。

当時はあまり盛り上がらず、1970年代に天文学者ヴェラ・ルービンが銀河の回転速度から遠心力を割り出して現実と理論の乖離を示し、ミッシングマス(見えない大質量の存在)を示して改めて注目されます。

余談ですが、ツビッキー氏は相当辛辣な性格だったらしく、ある宇宙誌では次のような逸話もあります。

同僚の中で彼の罵詈雑言の標的にならなかった者はなく、多くの人が、彼のお気に入りの悪口である「球形のろくでなし」と呼ばれた。球はどこから見ても同じに見えることから、球形のろくでなしは「どこから見てもろくでなし」という意味である。

出所:「宇宙創成」サイモン・シン

もしかしたら、技術の未発達だけでなく、こういった人間関係も理由にあったかもしれません。そう考えると、結構学術の世界も人間臭くて親しみ(?)が持てるのは私だけでしょうか?

話を戻すと、当時ツビッキーはビッグバンモデルを批判します。

ビッグバン、つまり宇宙膨張説は1920年代にハッブルという(法律家から転向した)天文学者が赤方偏移という物理現象を確認して離れているという仮説をとなえました。
日常に例えると、救急車がサイレンを鳴らしながら遠ざかると音が低く聞こえる現象です。

ツビッキーは辛辣に批判をし、代替案として銀河から逃げ出した光が、銀河重力でエネルギーを奪われる「疲れた光説」を唱えました。そしてこの時も徹底的にハッブル陣営を過激に(データ誇張説など)攻撃したそうです・・・。

勿論性格だけでなく、当時は物理法則での裏付けが取れなかったのもこの説が支持されなかった理由です。

今でもこの説が復活しているとは聞いたことがないです。

冒頭の記事に戻ると、最近のデータ結果でこのゴーストライトが銀河が形成された初期宇宙(数十億年前)からであることが分かりました。
つまり、まだ銀河重力の影響が弱かったために、そこから逃げ出した恒星群であることから「疲れた光説」を思い出し、そしてそれがダークマターを追跡する材料になるため、ツビッキーの面目躍如になるかもしれません。

ただ、どんな異論でも、人格を攻撃するのはやめたほうがいいですね☺

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