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《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.18
課題2:人と人との絆を伝えるコピー
・大切なひとは、最初から大切だったわけじゃない。
人と人の関わりとは、いったい何なのだろうか。大切な人。誰にでもいそうなのに、一瞬は考えてしまう存在。その大切な人の存在を問うことが、このコピーを紐解く鍵になるのではないかと考えた。ちなみに、私の大切な人は、家族です。
もし、家族と考えれば、多くは最初から大切だったと答える気がする。家族の当たり前さに気づく。という投げかけ方もあるとは思うのですが、それはあまりに特殊な条件と思う。
では、どんな人なのか? 例えば、恋人、友人、知人、恩師、同僚・・・という類に属する人たちが思い当たる。どの人も出会いと関わりの中で育まれた関係性によって『大切な人』に成長したのだ。根底には、愛情のような感情があり、他人と違う強い結びつきで「大切」な存在として成り立っている。
このコピーの弱点は、この『大切な人』という括り方だと思う。つまり、誰なのかわからないところだ。
私の授業の中で毎度言っていることがある。「最大」「最高」「極上」「上等」「純粋」・・・というような、凄さをもったいつけた単語は、「メリット」「デメリット」というコトバと同じで、使い方に注意が必要だ! ということ。基準が曖昧なため、実際のところ、伝えたいことが正確に伝わらないだけでなく、無駄に誇大な表現に陥る。インスタで映えるのなら許容されるのだが、コピーにおいては「で、何が言いたい?」という話になることが多い。(相手が悪ければ、ディスられる可能性もありますね。)
このコピーの『大切』は、これらのコトバの用法に近い。作者は、誰を思い浮かべながら話していて、受け手に誰を思い浮かべて欲しいのか? 全くはっきりしないのだ。しかも、どれくらいの大切さなのかも見当がつかない。こうなると答えは全て、受け手に委ねられることになるため、コンセプトとなるメッセージが成り立たなくなる可能性が高い。
コピーの文字面は問題ない。それだけにもったいない。同じ単語を重複させる「コピーっぽさ」にこだわりすぎた。そして、どこか理屈っぽい。入賞を逃したのも、このあたりにあると思われる。
もし、手直しするとしたこんな感じかな?
「恋人は、最初から、
大切だったわけじゃない。」
この方が、メッセージとして強くなると思いますが、いかがでしょうか。
伝えるためにどのようなコトバを選ぶべきか。コピーだけでなく、コトバを使ったコミュニケーションにおいては、永遠の課題だと思います。それでも、ピンポイントで伝える商用目的のコピーという文章表現においては、広い範囲を示すコトバは使わないことを基本として考えていった方が良い場合が多い。このコピーは、その大切さを伝えてくれるコピーと言えます。
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