カンバン17

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.17

課題2:人と人との絆を伝えるコピー
 ・天気の話をしただけで、晴れやかになった。

実はインスタで空の写真をあげています。世界中に空好きのインスタ仲間がいて、世界中の空を画面から眺めることもある。世界は一つなんだと思えるときは、世界中の空が、似たような色へと順番に染まっていくときだ。空仲間とは、インスタの写真を介し、ときに相手の言語で、ときに言語を超えたコミュニケーションで繋がり合っている。

そんな私に、空に関するコピーを投げかけるとは大胆だ。(そんなつもりはないか。笑)

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しっかり、課題の求めに従ってアイデアを練っている。身近な人たちとのコミュニケーション。その大切さが、ありふれたタイミング、何気ない会話から感じ取れる。日常のシーンに対する、この切り取り方が作者オリジナルのテクニックと思われる。

この作者は過去、しずおかコピー大賞の大賞受賞を成し遂げている。正直なところ、コピーそのものに駄目出しをする必要はない。

それでも、『どこかあるだろう!』という読者の声に応えるのならば、『晴れやか』さの程度にだろう。入賞を逃したということは、他と比較したときに、読後の肚の座りが弱かったということだ。

この会話での晴れやかさは、その微妙な変化に意識を傾けなければ感んじとることはできない。それくらいささやかな出来事だ。いいことは言っている。よくぞ拾い上げてくれた。そこに審査員が票を入れたことは間違いない。でも、私はそれだけのコトバに満足できない。

日常の忙しさや大変さは、そのささやかなうれしい出来事を無効化するに十分な力を持っている。ならば、その力を超えるアイデアを出していかなければ、コピーは効果も結果も伴なうことはできない。厳しい話だが、コピーライターは、常にそのリアリティと闘い、勝たなければならないのだ。(闘いに負ければ、仕事がこなくなる。確かな爪痕がほしい。)

このコピーが持つささやかな優しさは、共感が持てる。でも、入賞するには、優しさを推すに足るリアリティも纏わなければならないのかもしれない。その意味においてこのコピーは、アイデアとリアリティの折り合いについて、深く考えるきかっけをくれるコピーの一つだと思います。

※コピーの版権・著作権等の使用に関する権利は、静岡コピーライターズクラブに帰属します。
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