小説シリーズ 獣 第1話 出会う1人と異形の一匹
彼は森にいた。
森の中1人、木の間を通り、岩を越え、あたりに転がる、肉塊とかした何かを傍目に、彼は歩き続けた。
彼はこの世界では有名な英雄だった。
生まれてから人のためにありたいと、願いながら人々を助け続けた。
ある時は、少女と共に少女が母からもらった大事なぬいぐるみを探しに、
ある時は、周りに軽蔑されて働く青年を
ある時は、結婚を間近に旦那を殺された花嫁を
そしてある時は、、、、、
そうやって救い続けた彼の心の中の何かが折れていた。今、彼が踏んだ木の枝のように。
そして彼は気づけば森にいた。人に会いたくなくなったのか、それはわからない。
でも彼は歩き続ける。
そして彼は大きな大きな生き物と出会う。
黒い毛皮、細長く取り込まれそうになる赤き眼、全て引き裂けるであろう大きな爪、全てを噛み砕くであろう鋭き歯
しかし、英雄はその生き物を見ても恐怖よりも懐かしさを感じた。
英雄はその生き物に触れた。そして生き物は先ほどの姿よりも小さくなってしまった。
お前は、一匹か。助けて欲しいか。俺は英雄と言われているものだ。
獣はただ目を合わせるだけ。
英雄はその生き物を抱き上げた。
触れた時に何か感じた。快楽に似たもの。
そしてそのまま英雄は森の中を進む。
この黒いやつ、猫なのかな。
お前名前はあるのか。
獣は答えない。
俺の名前は、、、、だ。
名前がないならそうだな
ヨク、って名前はどうだ。
そのような話をしてるうちに獣は眠ってしまったようだ。
英雄は、彼に、ヨクと名付けた。
そして、ヨクとの出会いが、彼を
狂わせた
第二話
変わりし1人と眠りし一匹
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