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【シナリオ】家出少女が母性持つ友に癒される話


〇 菊の家 

栞、ベッドに横になり、菊、床に座り、
各々スマホをいじっている。
しばしの無言。
1件のLINEの通知音。
菊、スマホの画面を開く。

菊「…なにこれ。」
栞「おもしろくね?」
菊「んー、40点。」
栞「厳し。」
菊「だってこのネタ結構古いよ。」
栞「え、そうなの?」
菊「シオってそういうとこあるよね。」
栞「どういう?」
菊「流行りに遅れる。」
栞「え、そうなんだ。」
菊「そうでしょ。」

菊、栞のカラフルな部屋着を見る。

栞「えー、じゃあ今何流行ってんのー。」
菊「それは知らないけど。」
栞「知らないのに古いとか言うなし。」
菊「いや、でもそれは古いのよ確実に。」
栞「そうなの?」
菊「うん。」
栞「きーちゃん的に今流行ってるのは、何なん?」
菊「それは、」
栞「バンドは除いてね?」
菊「はぁ??」
栞「いやだって知らんもん。」
菊「そんなん、シオがアイドルは除いてって言われるようなもんよ?」
栞「それは拷問」
菊「でしょ?」
栞「でも知らんもんは知らん。」
菊「なーに開き直っちゃって。」
栞「きーちゃんもアイドルハマるべきだよ。」
菊「じゃあシオもバンドハマるべきだよ。」

間。

菊「今日どうする?」
栞「どうって?」
菊「まだいるの?」
栞「いるよ。…え、いいんでしょ?いいんだ、よね?」
菊「うん。もちろん。」
栞「びびったー。」
菊「どっか行く?」
栞「でも雨じゃん?」
菊「あー、そっか。」
栞「適当に授業受けてさ、ゴロゴロしようよ。」
菊「そうだね。今日何?」
栞「現代史と演技論。きーちゃんは?」
菊「全休。」
栞「はぁ!?!?」
菊「えぇ、怖い怖い。」
栞「じゃあ一緒に受けられるね。」
菊「やだよ私やる事あるもん。」
栞「何。」
菊「…DVD観る。」
栞「バンドの?」
菊「うん。」
栞「…俺が?隣で?授業を受けてる中?」
菊「観るね。」
栞「…じゃあ俺も見よっかなー。」
菊「さっき興味ないって言ったくせに???」
栞「隣で観られたら集中できんもん。授業どこじゃなくなる。」
菊「今日オンデマンド?」
栞「ううん、どっちもオンライン。」
菊「じゃあ受けなさい。」
栞「きーちゃああん。」
菊「卒業できないよ?知らないよ?」
栞「いーもんそしたらきーちゃん家に嫁ぐもん。」
菊「勝手に嫁ぐな夫にすんな。」
栞「性別の壁は越えられる!」
菊「違う違う違う、女だからとかじゃない、付き合ってない。」
栞「あれ、付き合ってなかったっけ?」
菊「付き合ってないね。私彼氏いるね。」
栞「それ、俺じゃなかったっけ。」
菊「違うね。」
栞「こんな1週間も泊まってんのに??俺彼氏じゃないの??」
菊「なるとしても彼女でしょ。」
栞「え、彼女枠空いてる!?」
菊「空いてねっつの。調子いいな。」
栞「あーあ。早くきーちゃんの彼女になりたーい。
俺偉いと思うんだよね、1週間も一緒に寝てて1回も手出てないの。」
菊「手出したら追い出すからね。」
栞「偉いなー俺。」
菊「とりあえずちゃんと授業受けなよ。」

菊、立ち上がる。

栞「どこ行くの?」
菊「トイレ。」

菊、トイレへ。
残された栞、菊を目で追ったあと、スマホの着信履歴を確認し、迷いながらも不在着信を再生し、スマホを耳に当てる。

栞「でかっ。」

音量に驚き、スマホと耳の距離を少し離す。
しばらく聴いた後、耐えられなくなり、スマホを耳から離し停止を押す。
頭を抱え、寝転がる。
急に、「ももいろクローバーZ」の「DNA」を歌い出す。
菊、リビングに戻ってくる。

菊「何急に。」
栞「ねぇ、今からアイドル目指したらなれるかな?」
菊「…何急に。」
栞「やっぱ俺ももクロになりたかったなー。アイドルやりながら演劇やる人生でいてぇ。」
菊「いいね。」
栞「だろ?推す?」
菊「アイドルのシオは推す。」
栞「何、アイドルのって。普段も推せ。」
菊「洗濯物畳むんだったら推す。」
栞「それは申し訳ない。畳む。てか畳んだら推してくれるの?」
菊「結果次第だな。畳んでも適当だったらあれだし。」
栞「あ、それは無理だ。俺あの、端と端合わせんの無理。」
菊「じゃあ残念。」

栞、スマホの不在着信を開き、菊にスマホを突き出す。

菊「何。」
栞「聴く?」
菊「…聴いて欲しいの間違いでは。」

菊、スマホを受け取り、不在着信を再生し、耳に当てる。
再生し終え、スマホを栞に返す。

菊「方向性変えてきたね。」
栞「うん、変えてきたね。」
菊「あ、聴いたの?」
栞「そろそろ自分でも聴いてみようかと。ちょっとだけね。」
菊「反省したんじゃない?お母さん。」
栞「いや、反省とかの問題じゃないしなぁ、、。」
菊「まぁね。」
栞「でも、話さなきゃいけないってのも分かってるんよ。」
菊「…たーぶーん、いや、わかんないけど、タイミングとしては今よ。」
栞「やっぱり?」
菊「うん。」

間。

菊「まぁ、何とも言えないけど、その、シオの性格的にもよ、今いかないと、もっと話しにくくなる気がするんよね。」
栞「そうだね。」
菊「うん。」

間。

栞「好きだからね。」
菊「お母さん?」
栞「うん。」
菊「めっちゃ好きだもんね。」
栞「うん。だから辛い。」

間。

菊「…とりあえずそれ伝えてみたら?」
栞「なんで?」
菊「だって、ある種家出じゃん。てか家出じゃん。多分嫌われたって思って、今落ち込んで、この留守電なのでは?」
栞「あー…。」
菊「わかんないけどね。」
栞「でもあるかも、うちのお母さんなら。」

間。
栞、頭を搔く。

菊「ま、とりあえず授業受けながら考えたら?まだ家いていいし。」
栞「いいの?」
菊「いいよ。そんな、すぐ出てけなんて言わないでしょ。」
栞「…やっぱきーちゃんだな。」
菊「授業は受けてね。」
栞「うん。受ける。一緒にね。」
菊「私は受けない。」
栞「ケチ。」
菊「いや泊まらせといてケチはない。」
栞「ごめん。」
菊「…いいよ。」

間。

栞「きーちゃんと仲良くなれてよかったなぁ。」
菊「あん時酔っ払って正解だったって?」
栞「よく俺が次言う言葉分かったね。」
菊「もうさすがに分かるよ、シオのことはなんとなく。」
栞「わ、それキュンときた。どうする?結婚する?」
菊「しーなーい。」
栞「本気なのになー。」
菊「しません。」
栞「ちぇっ、はーい。」
菊「コンビニ行く?」
栞「行くー。」
菊「何無かったっけ?」
栞「ビー…」
菊「ビール以外で。」
栞「ケチー!」
菊「毎晩飲み過ぎなんだって(笑)」

2人、談笑しながら部屋を出る。

おしまい


ーあとがきー
なんの変哲のない、女子大生の会話を書きたかっただけでした。笑
普通っていいよね、日常って尊いよね。
その中にちょっとした悩み事っていうスパイスがあるから、人生楽しいよね。
ダラダラお泊まりする大学生の尊い日常、いつの間にか無くなっちゃうの辛いよね。

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