生きることすべてが面倒臭くなっている大衆派女子高生の話。【ショートショート】

今九州に台風がいることも知らずに、Twitterで「台風どこ」とか呟いちゃう関東のみなさんこんにちは。
ほんと、世間知らずで恥ずかしい。同じ関東に住む者として代わりに謝らせていただきたい。ごめんなさい。

しかしまぁ、今日はよく晴れているな。
明日からひどくなるんだっけ、こっちの方は。
何で今日夜からバイト入れたんだろう。帰り道大丈夫かな、電車とか止まってなきゃいいけど。

学校が休みの日は、正直あまり好きではない。
ずっと家にいるのは息が詰まる。親との会話に付き合うのも面倒くさい。
さて、今日はどう過ごそうか。
時刻は午前8時半。朝ごはんだけ食べたら、3連休用に出た課題の残りをもって、カフェにでも入ろうか。うん。バイトまでそれで時間をつぶそう。

誰か呼ぼうか。
…でもそんなの、キャラじゃない、か。
いや、キャラじゃない私が呼ぶからこそ、みんな喜ぶかもしれない。
…いや、面倒くさい。誘ったら課題はかどらないし。
何より今日は、一人で過ごしたい気分だ。

とりあえず顔を洗って、着替えるとしよう。
洗濯機はもう回してしまっただろうか。
昨日歯磨き粉を寝間着にこぼしてしまったから、洗いたかったんだけど。ほんとに母親って、なんであんなに起きるのが早くて、活動開始も早いのだろうか。
急いで一階に行って、寝間着を洗濯機に放り込むのも、面倒くさい。
…いいや、あとで軽く手洗いをしよう。

顔を洗った自分の顔を鏡で見る。うわ、またニキビ増えてる。
しかも鼻の下。最悪。これ大きくなると痛いんだよな…。
よく見ると眉毛も変なところから1本生えてきているし、あーあ、面倒くさい。後で抜かなきゃじゃん。

高校生になって、無駄に容姿を気にするようになった。
中学までは、寝ぐせのまま学校に行ったり、眉毛なんか整えたことなかったのに。周りがどんどんオシャレになって、垢抜け？とかしていくから、正直そんなことしたくなかったのに、せざるを終えない状況を作られていく。自分は学校ではクール系で、一匹狼を装っているけど、なぜか人が集まってきてしまうタイプであると自覚している。それがまた面倒くさい。
周りに人がいるから、「あんた、こうしたほうがいいよ」「この方が絶対モテるよ」という必要のない助言をもらってしまう。
いや、いらねぇよ、求めてねぇよ。お前らで勝手にやってろよ。静かに読書させてくれよ。
なぜ人はみな、おせっかいなのだろう。
自分がいいと思ったものを、他の人も良いと思っていると思ってしまうのであろうか。
どう考えても愚かだろ。他人は自分じゃないことなんて、もうちょっと頭働かせて考えればわかることだろ。頭使うことをサボるな。
そんなことを言いながら私は、さっき気になった眉毛を1本毛抜きで抜いた。私もほんと、マジョリティ。

とりあえず日焼け止めと、眉毛と、アイメイクを少しやってカフェに行くか。服は面倒だから、制服でいいだろう。
たまに、男子が羨ましいと思う。あいつらは寝ぐせのままでも、眉毛がボーボーでも、ニキビもケアしなくても、外に出ることができる。なぜ女性だけこんなに工程が多いのだろうか。こんなに工程が多いから、男性が出世する社会が変えられないのではないか？だって、こんな容姿を整えている間に、男性は勉強とか、仕事とかして成果をあげられるわけでしょ？または1時間多く眠れるわけでしょう？ほんと、羨ましい。
でも女性は第一条件で容姿が整っていないと、上には行けない。
ああもうほんと、めんどくさいこの世の中。

髪もブラシでとかし、制服を今っぽく少し緩めに着こなして、鞄に勉強道具と休憩中に読みたい本を詰める。
ぴこん。
こんな早くに誰からだろう。ポケットから携帯を出し、通知の主を確認する。

『昼からいつメンでランチするんだけど、もち、来るよね？？』

まだ9時過ぎで、バイトは18時から。
とりあえずはカフェに行ってから考えよう。
今日はバイトまで正直一人で過ごしたかったんだけど。
なら断ればいいじゃん？

…いや、無理だ。
だって私も、マジョリティーだもん。

おしまい