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かえる場所を選ぶ、ということ | 金曜日のひとりごと

東京で暮らして5年。最近、秋田の物件を探している。秋田はわたしが生まれ育ったふるさとだ。いい物件との出会いがあれば東京との2拠点生活をしたいね、という会話をここ2年くらい夫と話している。

「車じゃないと移動できないから」「仕事がないから」「遊ぶところがないから」とか、地方はなにかと「ないもの」で語られがちだけど、わたしにとっては魅力的な「あるもの」があふれている。

一番は「視覚から得られる季節感」かな、と。わたしは特に冬が好きだ。自分の誕生日があるからだけではない。

地元にいたときに撮影した写真を見返したら、冬のものが圧倒的に多かった。

寒い日が続いた日の米代川。水面が凍って白鳥が氷の上を歩いていた

東京で出会った人たちから「秋田に行ってみたい」と言われることがある。社交辞令ももちろんあると思うけど、素直に嬉しい。でも、ほとんどの人が「雪のない時期に」と加える。

これはとても、もったいないことだなと思っている。

日本には豊かな自然があふれているけど、雪の景色は雪国で、冬の間にしかみられない。

まっさらな雪原となった田んぼの上に、ウサギの足跡

大雪や寒さが厳しくなると、いろいろなところで影響が出るので、旅行だとしても楽ではないのはたしかだけど。

それでも何年経っても、雪景色の美しさは見飽きない。今年の1月に帰省して改めてそれを感じた。

ちなみにいざ暮らすとなると、特に冬の間は本当に晴れの日が少ない。夫と結婚して神戸でお正月を迎えたときまで「初日の出を見に行こう」と発想したことがなかったし、5年前の1月に上京したわたしが、東京生活に対して最初に思ったことは「いつまで晴れが続くのだろう」だったほど。

秋田から外に行けば行くほど、新しい発見と体験があふれていた。そして同時に、地元の愛おしさが増していく。

春のはじまり。雪が残る白神山地と日本海。空からはどんなふうに見えているんだろう

大学4年間を山形で過ごしたのち、地元で6年ほど働いた。その間に地元に好きなところがたくさんできた。

生まれてからの18年ではわからなかったいろいろなことを知って、ずっとそこにあった好きなものたちに気づける人間になったのだと思う。

夏、釜谷浜からみた夕陽。波の音をききながら、まわりにいた人たちと同じ時間を過ごした

東京に来てからは、ご時世的なこともあって秋田に帰れない時期が長く、滞在できたとしても短い日数であることがほとんどだったため、写真をまともに撮れていない。

いま、秋田に暮らしていたらどんな写真を撮っているだろうと考えるだけでワクワクする。

郷土芸能や伝統的な祭りがたくさんあるところも好き。いろいろなまちをめぐってこの目でみたい

秋田の家を探しながら、「もし秋田で暮らすことを実現できたら…」とやりたいこともいろいろ考えている。

たとえば、白神山地を本格的に登りたい、ガイドの講習を受けて自分が案内人になるのも楽しそう。寒風山のパラグライダースクールに通って、自分だけで空を飛んでみたい。

蛍とか星空の写真をちゃんと撮ってみたい。何度か挑戦したけど1人での撮影はクマと遭遇しないかが怖くてあまり撮れなかったから。

そう考えると、クマの生態も勉強したい。山菜の見分け方もわかったらいいな。それで家族のだれもどこにあるのかはっきりわかっていない、祖父が残した山にも入ってみたい。

あとは釣りが好きなので、休日で天気がいい日は気まぐれに海釣りにも行きたい。冬になったら氷上でワカサギ釣りも久しぶりにしたい。それからスキーをするためにシーズン券を買って通いたい。

なにも予定がない日はドライブをしたい。田んぼに囲まれた道を走るのが大好きだったから、なるべく遠回りして。

お米は1年をかけてつくられているから、わたしは田んぼの風景の移り変わりから季節の変化を感じていた。農家さんが集まって協力しながら作業している光景も好きだったし、なんと言ったって田んぼそのものが美しい。

わたしにとって秋田は、1年を通して、その場所でどんなふうに過ごすのかが想像できる場所なんだと思う。

だから、安心してワクワクできる。

「どこにでも住めるとしたら」、わたしは故郷にかえるんじゃないかなと思っている。



▽この記事でつかった写真は、わたしのInstagramにもあります

最近、あまり写真を撮れていないので、今年は更新頑張りたいです…。

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Koimizu Shiori
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