元ゼロ戦パイロットが最後に残したメッセージ
原田要さん
真珠湾、
ミッドウェー、
ガダルカナル…
シナ事変から大東亜戦争まで、
いくつもの激戦を潜り抜け生き延びた元ゼロ戦パイロット。
死と隣り合わせの戦場で
命を懸けこの国を守り抜いた方のメッセージは、
そのひとつひとつが胸に沁みる。
最前線に勝ち負けはない
落ちた人は負けたように見えるし
落とした人は勝ったように見えるけど
同じなんだと
この嫌な思いを一生背負ってゆかねばならない
原田さんは
墜落していく相手パイロットの
苦痛に歪んだ顔を見たことで、
戦争の無意味さを悟ったという。
人を殺めたことによる罪悪感は
終生心から消えることなく、
原田さんはそれを背負い続け
その生涯をまっとうした。
武士の情け。
倒れた相手に対する惻隠の情を忘れない
「武士道精神」の体現者と言えるだろう。
「もうダメ」だと思った時
頭をよぎることはありますか?
そう問われた原田さんは、
次のように答えている。
やっぱりね、自分の家庭や子ども
天皇陛下万歳、大日本帝国万歳と
そんなこと言っている人は
いるかもしれないけど
その人は死ぬ人じゃない
死ぬ時にはみんな
独身の人はお母さん
それから妻帯者は
女房が困るだろう
子どもがどうやって大きくなるかなと
そういうことが頭をよぎります
「あの戦争」で散華した若者達が
本当に守ろうとしたのは、
一体何であったのか?
原田さんの教え子で
特攻として亡くなった関行男大尉も
次のようなメッセージを残している。
日本もおしまいだよ
僕のような優秀なパイロットを殺すなんて
僕なら体当たりせずとも
敵空母の飛行甲板に
50番を命中させる自信がある
僕は天皇陛下のためとか
日本帝国のために行くんじゃない
最愛のKAのために行くんだ
命令とあればやむを得まい
日本が敗けたら
KAがアメ公に強姦されるかもしれない
僕は彼女を守るために死ぬんだ
最愛の者を守るために死ぬ
どうだ、素晴らしいだろう
これが最前線で
命を懸け戦い抜いた
将兵達の本音だろう。
天皇陛下でもなく、
大日本帝国でもなく、
死を目前に脳裏をよぎるのは
もっと身近な存在であったに違いない。
いつの世にも
大言壮語を吐く者はいるが、
「本当に大切なもの」は
自分の足元に落ちている。
「時代の過渡期」と言われる今、
残すべきものと手放すべきもの、
その取捨選択が迫られている。
楽しいことや
ワクワクすることだけ
やればいい。
都合の悪いことや
重苦しい考えは
この際全て
捨ててしまおう。
そうした「スピリチュアル」や
「ニューエイジ的」考えもあるが、
決して忘れてはならないものがあるのも事実だろう。
今の時代、
「改革」と同じかそれ以上に大切なのは
「継承」ではなかろうか。
先人達の「意志」や「想い」を継承すること。
目には見えぬが
それらは社会を形作る「核=Core」であり、
次代へ継承すべき「資産」であり「財産」だ。
これからどれだけ「AI」が発達しても、
「想いを馳せる」のはおそらく、
生身の人間にしか出来ないだろう。
先人達の意志に想いを馳せるのは、
時空を超越することと同じである。
「想い」は時空を超えていく。
あとに続く日本の青年達が
平和で争いのない
世界に誇れる文化国家を再建してくれることを信じ
茂はたくましく死んでいきます
ある特攻隊員の遺書の一節。
肉体は朽ち果てても、
「意志」や「想い」は
未来永劫生き続ける。
「あの戦争」を戦った若者達は
それを本当の意味で知っていた。
「精神性の時代」への移行期にある今、
それを再認識すべき時が
来ているように思われる。
『零戦老兵の回想』(原田要著 星雲社)において
原田さんは最後に次のようなメッセージを残された。
これは特に女性の方に伝えたいのですが
「お母さんという存在ほど偉大なものはないんだよ」
ということを覚えておいてもらいたいと思います
(省略)
兵隊たちが死ぬ時は皆
「おっかさん」と言っていました
(省略)
それだけ女性の存在
陰で支える女性の役割というのは大きいのです
ですから自信を持ってもらいたいと思います
元ゼロ戦パイロットが最後に残したメッセージ。
それが「富国強兵」ではなく
「女性へのエール」であったのは、
考えさせられるものがある。
「あの戦争」を最前線で戦い抜き
生き延びた者の眼にはおそらく、
「平和の本質」が見えていた。
一万年以上に及ぶ平和を維持した縄文時代は、
女性を首長に戴く「女性上位」の社会である。
「精神性の時代」とは即ち、
「東洋思想」をベースとする
「女性性の時代」だろう。
激戦を生き延びた元パイロットの眼光は、
正確無比に地球の行く末を捉えていた。
原田要さん 享年99歳。
ご冥福をお祈り致します。