第5椀 お雑煮
初出:2015年1月10日
<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから
テーマ:番外編のお雑煮
「お雑煮」
新年あけましておめでとうございます。
岐阜県恵那地方では昔から、お正月や祝い事では「味噌がつく(ケチがつく)」と言って、お味噌汁が出ることはありません。このようなお正月のゲン担ぎもあわせて、我が地方の元日風景を紹介したいと思います。
元旦のお雑煮は年に一度だけ男衆が作るというのが、このあたりのもっぱらの風習です。まずその年最初の水である若水を井戸から汲み上げ、豆がら(大豆を脱穀したあとの幹=まめで一年暮らせるように)を焚いてお雑煮を作るのが、昔ながらのならわしです。その時におもしろく暮らせるように白い鼻緒の草履を履いてと言う話もあります。
お雑煮が丸餅か角餅かというのは、岐阜県の関ヶ原を境に別れるそうですね。我が恵那地方は東軍でして、角餅にすまし汁(醤油味)が主流です。本来は、餅をそのまま汁に入れて煮るのですが、関東では「焼いてふくらませて角をとる」というのを聞いて以来焼いて入れております。焼いたほうが香ばしさが加わります。
昔は「耳たぶがよくなるように(耳たぶの大きい人は金運がいいから)」と、のし餅の耳(切れ端)をお雑煮に入れていたという話をお年寄りから聞いたこともあります。
具は、鶏肉、かまぼこ、豆腐、正月菜(小松菜の一種)やほうれん草などが入ります。最後に花鰹をてんこ盛りにしていただきます(何も見えないくらい花鰹を盛るので、写真は盛る前に撮っています)。
大晦日は年取りのおかず(煮しめのようなもの)、元旦はお雑煮、二日は芋汁(とろろ汁)、七日は七草粥、十五日は小豆粥と、年に五日だけはお味噌汁をいただかない朝があります。そして残りの360日はもちろん毎朝味噌汁をいただいて、元気に過ごしたいと思っています!みなさまも、この一年、無病息災で過ごせますよう祈念いたします。
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「お雑煮」
出汁:昆布、乾椎茸、醤油
具材:餅、鶏肉、正月菜、椎茸、木綿豆腐
吸口:花鰹