第15椀 孝景の戦国そば
初出:2015年8月4日
<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから
戦国武将と味噌シリーズその6
「孝景の戦国そば」
戦国武将は味噌の重要性をよく知っていたという「戦国武将と味噌」シリーズです。…と言っても今回は「戦国武将とそば」ですが、もちろん味噌も大いに関わってくるお話です。
室町時代、越前国の朝倉氏七代当主朝倉孝景や、戦国時代、豊臣秀吉の最古参の家臣で、信濃小諸藩の初代藩主仙石秀久などの大名たちは、飢饉や戦の備えとしてそば栽培を奨励したと言われ、越前そばや信州そばのルーツとなったそうです。当時そばは、皮をむいて粒のまま炊くそば粥や、粉にしたものを団子状にしたそばがき、そば餅など、お米の代用として腹もちの良いように工夫して食べられていたそうですが、うどんを真似て作った、細い麺のそば切りも戦国時代にはすでに食べられていたようです。
そばを食べるとき、現代ではあたり前のように醤油を使っためんつゆで食べますが、実は今のような醤油が普及するのは江戸中期あたりです。では、どうやってそばを食べていたのか?と言いますと、大根の絞り汁に味噌を加えた汁だったり、梅干しと鰹を加えて煮切った酒「煎酒(いりざけ)」という調味料だったり、味噌を3倍ほどに薄めて煮込んで、袋で吊るして濾した「たれ味噌」に、鰹を加えて煮て作る「煮ぬき汁」とよばれるつゆで食べられていたそうです。むむっ、どれも興味深いし、なによりおいしそう!
前述の朝倉氏の越前地方といえば越前そばですね。そばにだしをぶっかけ、大根おろしをのせて食べるというもの。ワタシももちろん大好物です!これ実は「大根の絞り汁に味噌を加えた汁」というのが、越前そばの原型ではないかな~と、勝手に思っているところです。
というわけで越前そばにヒントを得て、戦国時代をイメージしためんつゆで、戦国そばなるものを作ってみました。めんつゆの作り方は、まずお味噌汁を多めに、いつものように具をいれて作ります。今回は具材にタマネギとジャガイモを使いまして、野菜の甘みをみりんや砂糖のかわりにしてみました。具は全部食べちゃいます。
この残ったお味噌汁の上澄み(つまりこれが煮ぬき汁)を、そ~っとすくって皿に盛ったそばにかけ、大根おろしと梅干と削り鰹をのせていただきます。いつものめんつゆとはまたひと味違った、まるみのある素朴な味わいですよ。
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「孝景の戦国そば(つゆのもととなるお味噌汁)」
出汁:鰹節、酒
具材:タマネギ、ジャガイモ
味噌:手前味噌(米麦混合麹)
そば、ダイコンおろし、花鰹