第31椀 ひきずり(鶏の味噌すき焼き)
初出:2016年10月9日
<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから
テーマ:郷土の味噌料理
「ひきずり(鶏の味噌すき焼き)」
ワタクシの父は「すき焼き」のことを「ひこずり」と呼びます。実はうちでもお正月くらいしか聞かない単語でした。同世代の会話では全く聞いたことありませんが、父の世代は「ひこずり」で通じます。
これが愛知県では「ひきずり」と呼びます。これも若い人はほとんど知らないそうですが、漢字で書きますと「引き吊り」つまり「引っ張る」という意味で、ひとつの鍋から具をみんなで引っ張り合いながら食べるというところから来ているらしいですね。そして愛知県で正統の「ひきずり」と言いますと「鶏肉(名古屋コーチン)」+「豆味噌(八丁味噌)」なんですね。
豆味噌はそのまま使うと溶けにくいので、あらかじめお酒とみりんと出汁を加えてすり鉢でよーく溶いた割下を作っておくことがこの料理のポイントです。我が家では鶏皮、心臓、レバー、砂肝などのモツを、この割下でくつくつっと煮たところへ、野菜、焼豆腐、糸コンニャク、ムネ肉、モモ肉を煮ながら、溶き卵へくぐらせて食べます。※写真は溶き卵はなしで盛り合わせてお味噌汁風にして撮ってみました。
豆味噌は煮込めば煮込むほど美味しくなるので、ゆっくりお酒でも飲みながら味わいたいですね。残ったらそのまま翌朝のお味噌汁でいただいても味噌が具材にしっかり浸みてまた美味ですよ~。
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「ひきずり(鶏の味噌すき焼き)」
出汁:乾シイタケの戻し汁、みりん、酒
具材:鶏肉(鶏皮、心臓、レバー、ムネ、モモ)焼豆腐、糸コンニャク、ネギ、エノキタケ、戻したシイタケ
味噌:豆味噌
吸口:七味唐辛子
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