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第36話_セミさん しんじゃった

「セミさん、しんじゃったのぉ、よしよし」

こどもに「死」を、どう伝えたらいいだろう?と最近考える。

いよいよ夏らしい季節になり、セミがあちこちで鳴いている。そして、ベランダや玄関でまもなく最期を迎えるセミを見かけるようになった。

1ヶ月ほど前。

ちょうちょが道端で止まっていた。
元気がなさそう。

元気ないねぇ、と言いながらその場を立ち去った。帰り際にまだそのちょうちょがいたが、もう動かなくなっていた。

「ちょうちょさん、しんじゃったなぁ」

というと。

「ちょうちょさんしんじゃったの?」

しばらく黙って

「また、うごくんじゃない?」

という息子。

「しんじゃうとね、もう動かないんだよ」

というと、不思議そうな顔をしていた。
2歳児に、どうやって教えたらいいのかなぁ、と思いながら、事実だけ伝える。

死ぬと動かないということは覚えたようで、
最期を迎えたセミをみては、

「しんじゃった?うごかなくなった?よしよし」

と言うようになった。

一方で、セミさん怖いといって抱っこを求めるようになってきた。マンションのエントランスから自転車置き場までいつも歩くが、怖がって歩かなくなってしまった。

鳴き声が怖いのか、
「死」というものをなにか感じっとったのか、
どちらかわからないが、この夏に「いのち」と向き合うという経験ができるとよいなぁと思う。

みなさんは、こどもに「死」をどうつたえたのだろう?


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