スマホも冷蔵庫の中も片付けまくったらブリの照り焼きが上手くできた話 〜とある休職中のオタクの想いごと〜
視界がごちゃごちゃしているのが苦手だ。目にうるさいと心がきゅっとして落ち着かない状態になる。家の中は極力すっきりさせておきたいので、インテリアに使う色は少なめにしている。白、ベージュをメインにクッションなどのインテリア小物、あとはドライフラワーや生花で色を添えるのが好きかもしれない。
オタクはハマっている作品の円盤や本に雑誌類、推しのぬいぐるみやグッズなど、とにかく物が増えがち。それらを飾りたい気持ちと、隠れオタクなので来客に備えて控えめにしておきたい気持ちがいつも私の中で闘っている。わが家にはロフトがあるので、タペストリーやキャンバスアート、ちょっと大きめのぬいぐるみなどはロフトに厳選して飾ってあるのだが、基本的には見えない収納を徹底して、余白のある空間を作るようにしている。(ちなみに推しにはメンバーカラーがあるので、その色をついつい手に取りがち。そこについては、雑貨や文具などで心を満たしている)
物は多く持ちたくないけど、ミニマリストほど徹底できないことは、インスタや動画や本などを見て悟った。でも余白はだいじ。昔から真っ白な空間にぽつんとセンスのいい花や家具が飾ってある光景に憧れがある。そんな私の目指すところは、収納上手なシンプリスト。見えないところにオタクグッズがわんさかあるのは一旦置いといて、視界に入るところはとにかくすっきりさせておきたい。
と、こんな考えの私なのだが、以前からもやもやしていたことがある。スマホの中身だ。以前、ミニマリストの方の本でこんな言葉に出会った。
「スマホの中が散らかっているのは、家の中が散らかっているのと同じこと」
読んだ当初、とても感銘を受けて、スマホの中をめちゃくちゃ整理した。使用していないアプリはアンインストールし、効率的に使えるようにアプリを並べ変え、ウィジェットも活用するようになった。使い勝手がよくなったのは言うまでもない。
では、何にもやもやしているのか。それは、画像フォルダである。自分で撮影した写真はもちろん、加工した写真やスクショした画面、保存した画像や動画が多すぎて「今あれが見たい」という時にすぐに辿り着けずにスクロールしまくっていた。しかも、スクロールした挙句に見つけ出せず、そのまま放置するなんてこともザラだった。私はオタク関連はもちろん、参考にしたいインテリアや心に響いた言葉、取り入れたいファッションや美容法、いつか読みたい本、聴いてみたい音楽、行ってみたい場所、試したいレシピ、憧れのライフスタイル、あとでチェックしたいものなどをとりあえずスクショしまくっていた。それが積もりに積もって膨大な量になっていたのだ。
とりあえず別に使用している写真保存の専用アプリに今後も残す写真や画像を振り分けることにした。これは旅行などの思い出の写真や、オタ活の足跡など、たくさんの画像を振り分ける際に大いに役立った。ぬいちゃん(※推しのぬいぐるみ)の写真は専用フォルダを作成してそこに移した。オタクイベントに一緒にお出かけしたり、オタク友達と旅行へ行ったり、推しの誕生日を祝ったり、とにかく思い出がいっぱいなのだ。
私はアイドル育成のソシャゲコンテンツにハマっているタイプのオタクなのだが、アプリ内のイベントやガチャ結果、ランキングの最終結果などのスクショも多かったので、これもフォルダを作って振り分けた。それとは別にアニメ化もしているのでアニメ関連、コラボ関連、ライブ関連などのフォルダも作った。
インテリアやファッション、美容、ライフスタイル関連など、参考にしたいと思いスクショしていた画像については、今の気分と違うものはどんどん削除した。いったい何年分溜め込んでいたのか、千枚単位で減った。よく見返すもの、今後見返す予定のものについては厳選した上で♡をタップした。これでいつでも画像フォルダ内のお気に入りから見れる。
あと、これは今の私のメンタルによるところも大きいのだが、「見返すと嫌な気持ちになるもの」は削除した。私の場合、転職活動中から仕事のモチベを高めるために仕事術やいわゆるシゴデキな人が発信しているものを参考のためにスクショしまくっていたが、全部消した。今の私には仕事より自分を整えていく方が大事なので……。
それから、「記念に撮ったものの、嫌な思い出もセットになって蘇ってきて心が曇る」感じのものも消した。これはかなりすっきりした。執着も一緒に消えた気がする。過去に仲が良かったものの、今は距離を置いていて疎遠になった人との写真とか、そういうものたち。もう会うこともないだろう人であれば、消していいと割り切った。
そんなこんなで、ひと手間かけたことでぐんと見やすく、私にやさしくなり、目的の画像にも辿り着きやすくなった。今後も残しておきたいものやたま〜に見返したいものについては専用アプリに移したので、iPhoneの画像フォルダの枚数もかなりの量が減った。結果的に、6000枚以上整理した。えらすぎる。
気がつけば結構な時間がたっていたけれど、後悔はない。画像フォルダの整理ついでにアプリも見直した。使っていないものはいくつかアンインストールした。例えばフードデリバリーのアプリ。メインに使っているものだけ残して、他は削除。休職中だし、自炊メインにして節約すると自分自身に誓ったので、使用頻度もこれで減らしていくつもり。
すっきり整ったスマホの中身がうれしくなった私が次にしたことは、冷蔵庫の中の整理です。なんでだ。これを書いていて思ったのだが、多分、片付けに対する意識が高まったのでしょう。それに冷蔵庫に関しても前から気にかかることがあったし。
冷蔵庫収納についてもすっきり見せるをコンセプトに、100円ショップで買った白のケースに細々とした食品を入れて取り出しやすく、見た目もすっきりを叶えていた。だけど、白のケースってすっきり見える分、中に何が入っているかを確かめないとわからない。賞味期限を切らしてしまうことも多々あって、半透明、あるいは透明のケースの方がいいかもしれないという気持ちが過っていた。
そこで私は思った。今こそ、ケースを買い替える時では!? そしてこうも思った。とめどなく引きこもってしまう自分に対して、外出する理由ができた!
その日の体調やメンタルにもよるけれど、何もやる気が起きずに生きる気力すらわかずに何日も過ごしてしまう時がある。食事もトイレもお風呂も面倒。全部が面倒。そんな自分に嫌気が差して、生きるのも面倒になって、どんどん暗い方へいく。そんな私にとって、片付けに目覚めた今日はとても調子が良い日。よし、外に出よう!
そうと決まれば、冷蔵庫用の収納ケースを調べ、ついでに今ある食材と買い足す必要のある食材もチェック。冷凍庫から、十日ほど前に買った鰤を発見。今夜は鰤で何かしらを作ろう。今週の食費の予算を調子が良かった頃の私が計算してくれていたので、それをもとにPayPayにチャージしていざ買い出しへ。ご近所のスーパーと100円ショップに行くだけなのに、なんとも特別感がある。
冷蔵庫用の収納ケースはセリアのキレイストッカーにした。透明だし、わが家の冷蔵庫の1段にこのケースを3つ並べるといい感じになるだろうとイメージが膨らんだからだ。スーパーではひき肉や味付け済みの生姜焼きが4割引になっていてうれしくて即カゴに入れた。これは小分けにして冷凍しよう。今日は結構、いい買い物ができた気がする。
帰宅した私は冷蔵庫の整理に取り掛かった。セリアのキレイストッカー、やっぱり3つ並べるときれいに収まっていい感じ! と、ここでテンションが高くなる。ヨーグルトや甘味類、豆腐と納豆、味噌や調味料関連の3つにカテゴリ分けして整理した。奥のものも取りやすいしやっぱりケース収納は良い。透明だから、これで食材ロスもなくなるはず。
買ってきたお肉を小分けして冷凍する際に、冷凍庫も整理した。上段には冷凍くだもの、アイス、保冷剤を。下段には野菜類、肉・魚類をざっくりとゾーンで分けた。独身だけど、デキる主婦になった気がしてくる。
解凍中の鰤で晩ごはんはブリの照り焼きを作ることにした。ブリ大根に一時期ハマっていたことがあったが、照り焼きを作るのは思い出せないくらい何年も……いや、十年以上前のような気がする。以前の私はコンビニ弁当やスーパーのお惣菜、カップ麺に生かされており、自炊癖がついてきたのはここ二、三年のことなのだ。その中で、魚料理はあまりしてこなかった。
画像整理をしたことで、いつか作りたいと思っていたレシピのスクショも見やすくなった。すっかり忘れてしまっていたけれど、私は伝説の家政婦志麻さんのブリの照り焼きをずっと作ってみたかったのだ。ちゃんとキッチンペーパーで鰤の水気を取るところから始めて、レシピ通りに調理した。わが家には砂糖がないので、代わりに美意識が高かった頃に買ったラカントSを使用した。
こうして出来上がったブリの照り焼きは、自分で作ったとは思えないほどにとてもおいしくて、とにかく白米が進んだ。最近はそうめんにハマっていたけれど、白米ってやっぱりおいしい。それに久しぶりにみそ汁も口にしたけど、温かいものはほっこりとした気分になる。付け合わせにはつくりおきしていたアスパラとベーコンときのこのカレー風味炒めと、揚げ茄子の煮浸しに鰹節と生姜を乗せていただいた。はぁ……おいしすぎる。和食、最高。また作ろう。
私はとてもいい気分でごちそうさまをした。画像フォルダと冷蔵庫を整理したおかげで、自炊力まで上がった気がする。なんとも満たされた気持ち。
ところで、わが家にはオートミールが大量にある。美意識が高かった時の私がキロ買いをしていたのだ。冷蔵庫で保管している以外にも、ストック分含めてまだ3キロ以上残っている。せっかくだから、オートミールレシピもいろいろ試してみるか。今はそんなことを考えている。