2017年11月の記事一覧
傑作だが忙しない『リメンバー・ミー』
『Coco』★★★☆。(4ツ星満点中、3ツ星半。)
ピクサー19作目の長編映画は、メキシコの伝統行事「デイ・オブ・ザ・デッド(死者の日)」を下地にしたファンタジー・ アドベンチャー。『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ監督に加え、ピクサーでストーリーおよびストーリーボード・アーティストとして活躍してきたエイドリアン・モリーナが共同監督を担当。邦題に採用されたテーマ曲「リメンバー・ミー」は、
過去作の礎に利する快作『スパイダーマン:ホームカミング』
『Spider-Man: Homecoming』★★★★。(4ツ星満点中、4ツ星。)
ソニーがサム・ライミ版3部作の成功と挫折を脇へ追いやり、数年のうちに『スパイダーマン』をリブートしたのは2012年だった。しかし『スパイダーマン3』と同様、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズは2作ともフランチャイズ・コンプレックスにまみれ、世間一般の不評を買った。今作は、かつてのレバレッジを失ったソニーが
社会性、多少ゴリ押しの佳作『Wind River(原題)/ウィンド・リバー』
★★★・。
「サンズ・オブ・アナーキー」でデビッド・ヘイル役を務めるのみならず、ドゥニ・ヴィルヌーヴの監督作『ボーダーライン』や、『ヘル・オア・ハイ・ウォーター』の脚本を執筆してアカデミー賞にノミネートされたフィルムメーカー、テイラー・シェリダン。彼の監督第2作となった本作は、主演にジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンの『アベンジャーズ』組を揃えるスター・ビークルとなった。ネイティブ・アメリ
稚拙極まる迷作『ジャスティス・リーグ』
『Justice League』★☆・・。(4ツ星満点中、1ツ星半。)
「クリストファー・ノーラン製作総指揮」というクレジットの意味はもはやどこへやら。ザック・スナイダー印のDC・エクステンデッド・ユニバースは『マン・オブ・スティール』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『スーサイド・スクワッド』と軒並み酷評続きで、コアファンの義務感による興行収入でかろうじて保っている。本作も
秀逸だが奇怪なキャラクター・スタディ、『イングリッド・ゴーズ・ウエスト』
★★・・。
2017年のサンダンス映画祭でオリジナル脚本賞を受賞、作品賞にもノミネートされたインディペンデント映画。フィルム・インディペンデント・アワードでも脚本賞、および最優秀初長編作品部門でノミネートされ、監督およびプロデュース陣の処女作として高く評価された。制作費は定かでないが、北米での興行収入は3億円(1ドル100円換算)ほど。公開館数は最大647館で、各館平均で1,200ドルの売り上げ
不遇の傑作『ブレードランナー2049』
★★★☆。
リドリー・スコット監督の『ブレード・ランナー』が公開されたのは1982年。制作費は超過を重ねて28億円(1 ドル100円換算/為替度外視)にのぼったが、オリジナルが公開5週間で計上したのは23億円に過ぎなかった。しかし当年のアカデミー賞では美術賞と視覚効果賞でノミネートを勝ち取り、映像面と思想面ではカルトな人気を醸成した。
その後7バージョンもの「再編集版」が生み出されるほど「味わ