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#153 フルサイクルエンジニア⑦ 〜非同期コミュニケーションを活用するための訓練~

こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。

前回、成長に伴いフルサイクルチームに生まれた境界を埋めるには、非同期コミュニケーションを活用していく必要があるという話をしました。

いざ、非同期コミュニケーションを活用しようとすると、すぐにはうまくいかないことがわかります。

非同期コミュニケーションが成立するのはメンバーの能力やプロセスへの理解力が求められます。
今回は、キチンと訓練しないとそれらを身に着けることは難しいという話です。


〇非同期コミュニケーションがうまくいかない理由

前回の記事では、非同期でのコミュニケーションがスムーズに行えるように、必要な情報を5W1Hのように体系化すると良いという話をしました。

しかし、例えば営業とエンジニアの非同期コミュニケーションを成立させるために営業が顧客の要望を5W1Hで深堀りすることは非常に難しいです。エンジニアに共有される情報はエンジニアの求めるものにならず、何度もラリーをすることになりがちです。

なぜかというと、顧客の要望を聞いてから機能を提供するまでの価値提供の一連のサイクルを理解していないと、適切な深掘りが出来ないからです。エンジニアは顧客の要望を実装コストや運用コストがなるべく小さくなるような方法で実現しようとしまが、その意思決定プロセスを理解出来ていないとエンジニアの欲しい情報を引き出すことが出来ないからです。

これは逆の場合も同様です。
営業が顧客と交渉するために必要な情報をエンジニアから引き出したい時に、エンジニアが顧客との交渉や合意形成のプロセスを理解できていないと必要な情報を提供することができません。

境界を挟んだ相手の業務への理解が浅いと、雑な依頼や雑な回答になってしまうのです。

〇プロセスを丸ごと理解するための訓練

システムの開発のプロセスをまるごと理解できる人を育てるのは非常に難しいです。

私は会社がまだ30人程度と小さい時期に入社したため、運よく小さな規模でフルサイクルを経験することが出来ました。
自分自身で顧客との交渉を行う経験もあり、エンジニアとして要件定義、設計、実装、テスト、運用と一通りのシステム開発のプロセスを経験したり、プロジェクトマネジメントも行ってきたため、肌感覚を得られたことは非常に良い経験でした。

境界が生まれている状態でジョインしたメンバーが、フルサイクルの経験がない場合には、非同期コミュニケーションの中でパフォーマンスを発揮するのは困難です。

細分化したプロセスの習得から始めたり、規模の小さいフルサイクルを経験をするなど、プロセスを理解するための訓練が必要です。

〇キャリアパスを作るということ

キャリアを歩むなかで訓練を積み、訓練によって得た能力を発揮する場を適切に与えることで、成長の実感を得ることができます。

私は、ITベンチャーという環境で訓練と実践の場を掴むことができました。

そのような訓練と実践の場を計画的に用意することがキャリアパスを作るということなのかと思います。

弊社でいえば、例えば下記のように配属先をコントロールすることでキャリアパスを形成することが出来ます。(絶賛提言を進めているところです。)

①新卒を規模の小さいフルサイクルチームに配属する
②①のチームの中堅に規模の大きい開発プロジェクトを任せる
③②を経験したら規模の大きいフルサイクルチームに配属する
④③で成果を出したらリーダーに昇格

受入側のチームは、訓練と実践の場を適切に与え、チャレンジを後押しすることでこのキャリアのサイクルが回せます。

このように、訓練の場とチャレンジの機会を与えるキャリアパスを構築することが出来れば、継続的な成長を促し今後の自分のキャリアもイメージしやすくなるため、3年での離職率も下がり組織力の底上げにもつながるのではと考えています。


ということで、今回は非同期コミュニケーションを活用するためには訓練が必要であり、訓練の場をコーディネイトすることがキャリアパスを作るということである。という話でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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