#235 AWSのビジネスから学ぶ BtoB IT企業のマーケティング4.0
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
今日はフィリップ・コトラーのマーケティング理論をAWSのビジネスと照らし合わせることで、BtoBのIT企業でどのようにマーケティング4.0を実践していけば良いかについて考えます。
〇コトラーのマーケティング理論の進化
マーケティングは市場環境の変化によって変わっていくものであり、コトラーのマーケティング理論も時代に合わせて進化しています。
1.0から4.0の特徴をChatGPTに簡単にまとめてもらいました。
時代背景とともにマーケティング手法が変化していることがわかります。
マーケティング1.0:製品主導のマーケティング
背景: 工業化の時代。消費者に多くの選択肢がないため、製品そのものが主役。
特徴: 製品の機能や品質に注力し、大量生産と販売を目指す。
手法: 広告やプロモーションを使い、製品の機能・価格・品質の優位性を訴求。
マーケティング2.0:顧客主導のマーケティング
背景: 市場競争が激化し、消費者の選択肢が増加。顧客のニーズに応えることが重要に。
特徴: 顧客志向で、消費者の多様なニーズに基づいて製品・サービスを提供。
手法: 市場調査やセグメンテーションを活用し、ターゲット顧客に合わせたマーケティング。
マーケティング3.0:価値主導のマーケティング
背景: 消費者が企業の社会的価値観や使命感に注目。共感や社会的責任が重視される時代。
特徴: 単なる製品・サービス提供に留まらず、消費者の価値観や感情に訴える。
手法: ブランドストーリーを強調し、CSR(企業の社会的責任)やエシカルマーケティングを取り入れる。
マーケティング4.0:デジタル化とソーシャル化のマーケティング
背景: デジタル化の進展により、消費者が口コミやレビューで他者の意見を重視。オンライン・オフラインの融合が求められる。
特徴: ソーシャルメディアやデジタルツールを活用し、消費者と双方向のコミュニケーションを強化。
手法: ソーシャルメディアやインフルエンサーを通じたエンゲージメント施策、オンライン・オフラインを統合した顧客体験設計。
〇BtoB企業におけるマーケティング3.0、4.0の難しさ
マーケティング3.0は価値観や感情に訴えるコト消費、4.0はコト消費のデジタルでの発信による自己実現に応えるアプローチと言えます。
ディズニーランドのアプローチが好例です。
アトラクションに乗らずに仲間と好きなキャラクターと一緒に写真や動画を撮ることを楽しめるようにプロデュースしています。さらに映える写真や動画を仲間に見せたりインターネットで発信することで自己実現を楽しむことにも繋がります。
このマーケティング3.0、4.0は、個人に対するアプローチで考えるとわかりやすいのですが、企業の価値観の実現や自己実現というのは企業のビジネスの実現ことであり、アプローチの難易度が高いと感じます。
そのため、マーケティング1.0や2.0で止まっているBtoB企業が多いのではないかと思います。
〇AWSから学ぶマーケティング3.0、4.0
そんな中でも、AWS(Amazon Web Service)は、顧客志向の提案活動と利用事例の共有を通じて、マーケティング3.0、4.0を実現しています。
まず、マーケティング3.0は顧客の価値観や課題に共感することが求められますが、AWSではソリューションアーキテクトがこの役割を担っています。彼らは業種・業界ごとの特性を理解し、顧客のビジネス目標に合わせてAWSのサービスを活用した最適なアーキテクチャやソリューションを提案します。これにより、AWSは単なるクラウドインフラの提供者としてではなく、信頼できるパートナーとして顧客との関係を築き、AWSの価値を顧客にとって明確なものとしています。
次に、マーケティング4.0では、企業が顧客を巻き込み、顧客間での情報共有やコミュニティ形成を通じてブランドの認知を拡大することが求められます。AWSは、利用事例を発信する企業を増やし、利用者コミュニティがSNSやオンラインプラットフォームでAWSに関するノウハウを共有し合う環境を作り出しています。これにより、AWSの利便性や価値が口コミや他社の成功事例を通じて伝わり、潜在顧客に対する影響力が拡大しています。
また、AWSはオンラインでの事例発信に加え、AWS reなどの大規模イベントを通じて、オンライン・オフラインの交流を活発に行い、顧客が実際にAWS技術者と交流できる場を提供しています。こうしたイベントは、顧客同士のネットワーキングも活性化し、AWSのユーザーエコシステムの形成に寄与しています。コミュニティ全体がAWSに対する信頼を支え、次の顧客を引き込む好循環を生み出しているのです。
〇BtoB企業におけるマーケティング3.0、4.0の取り組み
顧客志向の提案活動、利用事例やコミュニティ形成に取り組むことがマーケティング3.0、4.0の実現に繋がるということがAWSの取り組みからわかります。これらは私の所属するIT企業でも実践しています。
システム開発のプロジェクトでは、顧客の求めるシステムや機能をどのように実現するかを考える前に、なぜ顧客がその機能を求めているのか、何を実現したいのかをしっかりとヒアリングします。これは、下請けではなく顧客のビジネスを一緒に支えるパートナーとして関わることを目指すということです。
顧客にパートナーと認めてもらうためには、顧客の業界や事業を深く理解し、商談の際には顧客の話を聞くだけではなく、こちらから積極的に提案していくとが求められます。顧客がBtoC企業であれば顧客の先のユーザーに向けたマーケティング3.0、4.0のアプローチでの提案が必要です。顧客の期待を何度も超えていくことで、同じ目線でやりとりが出来るパートナーの地位を獲得することに繋がります。
また、パートナーとして一緒にプロジェクトを成功させた際には、顧客インタビューを実施し、顧客からのフィードバックを頂きます。インタビュー記事をHPに掲載し業界他社にメールマガジンで発信したり、エキスポなどのイベントで紹介することで業界内での認知を作ることに繋がります。
さらには、顧客同士で弊社についての情報交換をしていただけることを目指します。
ということで、AWSのビジネスをコトラーのマーケティング理論と照らし合わせてみました。
AWSはモンスター企業のためビジネスの規模は比較になりませんが、マーケティング4.0の実現のためには、顧客のビジネスの実現を後押しする提案力・実現力を高めていくことが必要である。ということです。
最後までお読みいただきありがとうございました。