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#221 共感によるセンスメイキングがマネージャーの役割

こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。

前回、前々回とセンスメイキング(腹落ち)の話について述べました。

人は腹落ちもしないことを命令だと上から言われたところで人は本気では動きません。高いパフォーマンスを発揮するには、なぜそれをやるべきかを腹落ちする必要があります。

そして、個々人で異なるモチベーションを持つチームに高いエンゲージメントを求めるには、メンバー一人ひとりがチームの目的やアプローチに腹落ちしている必要があります。

そのためにマネージャーには、複数の視点からのセンスメイキングを生み出すことが必要です。

〇個人のセンスメイキングに委ねると分断が生まれる

個々人が高いモチベーションを発揮しているように見えてチームとしてのパフォーマンスは決して高くないという状況があります。役割の異なるメンバーが混在するチームで、個々人の短期的な目的を優先する時にメンバー間で腹落ち出来ない状況が生まれます。

弊社でも顧客の課題解決を実現するビジネスを行うという目的は同じでも、実現のためのアプローチが異なり、分断が生まれるということがありました。
例えば、顧客の要望をなんでも受け入れるアプローチと、顧客の課題を深掘りし課題を解決する方法を提案しようというアプローチの違いでの分断です。

顧客の要望にそのまま応えることが良い対応であり短期的な売上のためにも発注を頂くことが重要という考え方と、本当に顧客の課題を解決するためには下請けのような対応では不十分であり長期的な運用の観点でも提案が重要という考え方の違いです。

それぞれが自分の仕事に責任を持って取り組んでいるはずなのに分断が生まれることでうまく協調できず、プロジェクトの進め方で衝突が起き無駄なコミュニケーションがうまれパフォーマンスが下がります。

〇個人のセンスメイキングでチームは動かない

センスメイキングのためには、自分達の役割にどのような社会的意義があるのかを筋が通った具体的なストーリーで語れることが必要です。
「会社を語るな、社会を語れ」ということです。

ある視点では良いことも、別の視点では悪いことになるため、立場や役割の異なるメンバー間では、個人がセンスメイキングした理由では他の人はセンスメイキングしません。そのため、互いの考え方を主張し合っても仕方がない。チームを動かすことはつながらないということです。むしろそれが境界となり、もやもやが生まれてしまいます。

会社の売上に責任を持つ営業部長が「売上を優先しろ」と言えば、直属の部下としては納得するかもしれません。しかし、その営業部長の言葉にエンジニアが腹落ちすることは難しいでしょう。逆もまたしかりです。

売上を作りたい。技術的に面白い開発がしたい。というような個々人のモチベーションを生み出す理由では他の人の腹落ちは作れません。社会的に意義のある事業の実現・成長のために会社が存在し、各メンバーの役割がどのように社会に関わっていくのかというのを実現可能な具体性のあるアプローチまで含めたストーリーで語ることがチームや組織のセンスメイキングには欠かせません。

高い視座から俯瞰すること、個々人に合わせてセンスメイキングのポイントを見極めてコミュニケーションを取ることが必要です。

〇説得ではなく共感を追求する

リーダーやマネージャーは自分の腹落ち理由でメンバーを説得してはいけません。人は合理的な説明では腹落ちしません。人から説得を受けてもその人の行動は変わりません。周りの状況などから、今までわからなかったことを理解したり体感することで「自己説得」に至ると行動が変わります。

自己説得は体感を伴うことで納得感に繋がります。これは個々人のセンスメイキングのことであり、体感のない人に自分のセンスメイキング理由を説明しても行動を促すことに繋がらないことは良くわかります。

リーダーやマネージャーは説得ではなく、共感を狙う必要があります。
これをやってみたら面白祖殴打、これが実現したら痛快だという共感を作ることが出来ると、必ずしも合理的な戦略や見通しがなくてもコミットメントを引き出すことが出来ます。

このような共感を作り、組織に自律的なイノベーションと行動を促すのがセンスメイキング理論です。センスメイキング理論には「7大要素」と呼ばれる以下に示す要件があります。

  1. アイデンティティ:identity

  2. 回想・振り返り:retrospect

  3. 行動・行為:enactment

  4. 社会性:social

  5. 継続性:ongoing

  6. 環境情報の部分的認知:extracted cues

  7. 説得性・納得性:plausibility

「会社を語るな、社会を語れ」というのは「4. 社会性」の要素を示しています。

プロジェクトを進めるための業務に関する会議ではなく、これらの要素を満たしたストーリーを語る時間を定期的に作ることがマネージャーには求められます。
逆にこのような時間を作らないと組織やチームのエンゲージメントを高めることは難しいということです。

私自身、こういう機会を作れていませんでした。最近、自分のチームの目標を語る時間がありましたが、一部のメンバーの一定の共感を得ることしか出来ませんでした。

今後、より多くのメンバーの共感を生み出すために、繰り返し語り、ブラッシュアップしていかねばと思える良い経験でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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