胸がすく快演! スダーン/東響の「ライン」
オペラシティで東響定期を聴いてきました。
メンデルスゾーン:静かな海と楽しい航海 op.27
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 op.102
シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調op.97「ライン」
指揮:ユベール・スダーン
ヴァイオリン:郷古廉
チェロ:岡本侑也
メンデルスゾーンとシューマンがよかった。
スダーンは指揮棒と指揮台使わないんですね。
そのせいか、オーケストラに対して上から指示してるというより協調して音楽を作っている感じでした。
さすが元音楽監督、シューマンの後半なんか指揮姿が音楽に溶けるようで、クライバーの指揮を見ているような優雅さでした。
メンデルスゾーンは初めて聴く曲でしたが、前半は映画音楽のようにゆっくりしたエモーショナルな音楽で、「ジワる」って感じでしょうか😅
冒頭からスダーンの繊細優美な音楽性は感じ取れましたが、躍動感ある後半もよかったですね。
コンマスの小林壱成さんがいかにも楽しげな表情で弾いていました。
オペラシティの大きさにちょうど合った音楽でしたね。
ステージ近くで聴きましたが、スダーンの指揮は簡潔明瞭。まさに職人です。
ブラームスのこの曲は以前聴いたときと同じでやはり苦手でしたね😅
起伏が乏しいというのか、私にはあまりにも地味すぎるのです。
岡本さんのチェロは渋い音色でよかったです。
アンコールはマルティヌーの「二重奏曲第2番より第2楽章アダージョ」でした。
これもあまりピンとこず😅
郷古さんはもともとソリストですが、現在はN響のゲスト・アシスタント・コンサートマスターですね。
ベルリン・フィルの樫本大進さんも元ソリストですが、協奏曲や室内楽ばかりやるよりオケで活躍した方がマーラーやブルックナーもやれるわけですから音楽性の幅が広がる気がします。
一回やると病みつきになってソリストには戻れないのではないでしょうか笑
シューマンの「ライン」は傑作でした。
明朗の極みのような、喜びにあふれた曲です。2番や4番のような影がありません。
第1楽章から歓喜の歌って感じのハイテンションでしたが、第2〜4楽章も極めて繊細に奏でられ、アタッカ気味で始まった第5楽章はもう胸が踊るような清々しい快演でした。
マーラーやショスタコーヴィチに比べたら規模の小さい曲ですし、奏者の方も9分目くらいの力で弾いていたかもしれませんが、その塩梅が難しいのです。
一生懸命な中に、ふっとした脱力がある。
その辺はスダーンの手綱さばきでしょう。お見事です。
最初にクラリネットを立たせ、次がフルートだったかな。ファゴットとティンパニは立たせてませんでした。
ティンパニは木製のバチでした。第5楽章で何かズレてるように聴こえたのですが、気のせいでしょうか。
ファゴットはミスしていたようには聴こえなかったです。
いずれにしても全員を律儀に立たせる日本人的なやり方は好きではないので、スダーンの立たせ方は好ましかったです。
今月はスダーンとカンブルランを初めて聴きました。
どちらも長く日本のオケの監督(常任)をやっていたのに聴きたいとあまり思っていなかった😅
2人を聴いてみて、退任後も定期的に呼ばれているのが納得できるオケとの信頼関係でしたね。
カンブルランは微妙ですが、スダーンはまた聴いてみたいです。