演奏中にプログラムを読んではいけない3つの理由
はじめに
以前書いたこちらの記事↓
のアクセス数がわりと伸びてるので、なぜだろうと思ったのですが、
もしかして「演奏中にプログラムを読む行為」について検索してる人が多いのかな?
と思いました。
鑑賞マナーが書かれたサイトでも、このことについては特に書かれてないのかもしれません。
私個人の意見としては、演奏中にプログラムを読むのはやめていただきたいです。
なぜそう思うのか、理由をこれからお話します。
その前にお伝えしますが、演奏中にプログラムを読む行為が主催者から禁止されてるわけではありません。
昔はほとんど見かけませんでしたが、最近増えてきました。
増えてるといっても大半の人はプログラムを読んでないどころか、手元に置いてすらいません。
なぜだと思いますか?
演奏中にプログラムを読んではいけない理由
その① 音がする
これが一番の理由です。
「音がしないように注意してめくってます」って?
そういう問題ではないのです!😂
ふだんクラシックを聴かない方はわかりづらいかもしれませんが、クラシックって配信音源であっても強弱の幅が広いんです。
コンサートに来ている皆さんはそのCD音源でも拾いきれてないような、生の音楽ならではの「音にならない音」まで拾おうと全神経を耳に集中しているのです。
そこには息をするのも遠慮するくらいの緊張感があります。
「気をつけてめくってます」って次元の話ではないのです😅
余計な音は出ないのが一番ですが、私自身は突発的な咳やくしゃみにはそこまでイラッとはしません。
本人が気をつけていてもお腹の虫がグーグー聞こえることもあります(私も鳴る体質なのでコンサートの前はよくおにぎり食べてます)。
一時的な生理音は仕方ない場合もあります(鼻息が終始うるさいのは困りますが)。
演奏中にプログラムをめくる音、飴の袋を開ける音にイライラさせられるのは、音に対する無神経さゆえです。
その② 視界の邪魔
これもあります。
同じ理由で、演奏中に指でリズムを取る行為も極めて迷惑です(音がしなくても)。
聴く人はステージ上だけを見ていたいのです。
視界に入る場所で何かが動いてたら気を取られるんです。
演奏家の出す音のみならず、音楽を生み出す彼らの一挙手一投足まで見逃すまいと皆さん真剣にステージに視線を向けています。
その③ まわりのテンションが下がる
演奏中にプログラム読むのは「私は退屈してます」ってまわりにアピールしてるのと同じなんです。
「いや、自分は音楽をよりよく理解するために読んでるんだ」って?
文字を読むとそれだけ耳が疎かになります。
ながら聞きになるのです。
家でスマホいじりながらテレビで映画見てるのと同じ態度です。
映画館で映画を観ていて、内容がわからないからといってスマホを取り出してレビューや解説を読んだりしますか?
しませんよね?
自分は真剣に聴いて(見て)いるのに、近くの人が退屈しきってプログラムめくって音は出すわ、その動きがちらちら目に入るわって悲惨としか言えません。
歌詞のない長い音楽を聴き続けるのは、慣れない人には苦行でしかないと思います。
私もコンサート以外ではスマホいじったり何かしながら聴いてます。
だからこそ、コンサートでは真剣に音楽と対峙したいのです。
コンサートに来てまで「ながら」で聞いてるんだったら、家でYouTube見てればよくない?って思ってしまいます。
最近はスマホ社会ですから、昔と違っていつでもどこでもスマホが退屈しのぎになってくれます。
何もしないで電車に1時間乗るなんて、耐えられない人も多いのではないでしょうか。
退屈への免疫力が減ってきてると感じます。
プログラムは開演前に読んでください。
演奏中はできれば膝の上は何もない状態で、手で何かを触っていたりしないでください。
どちらも音がする原因になるからです。
入り口でもらったチラシの束を膝の上に置くのも論外です。
わざわざ落ちる危険のあるところに置く意図がわかりません。
床に置くか、カバンにしまってください。
プログラムをめくってる人(大半は読んでいるというより暇つぶしにパラパラしてるだけ)を見ると気の毒になります。
皆さん退屈に耐えられなくて、藁をもすがる思いで「聴く行為」から逃げている……😭
演奏会で退屈しないコツ
をお伝えします。
その① 演奏曲をYouTubeで見ておく
これだけで、かなり違うと思います。
曲の最初から最後まで聴かなくていいです。
演奏される全ての曲の雰囲気や流れをあらかじめざっと把握しておくだけで、音楽の全体像がわかって安心できます。
先の展開がわかってると、疲れを感じてもペース配分できます。
上司のつまらない話が「あと1分で終わる」とわかってるのと「いつ終わるかわからない」のでは、疲労感は天と地ではありませんか?(笑)
その② プログラムで時間配分を確認
「いつ終わるんだ??」という思いが退屈を倍増させてしまう原因でしょう。
プログラムを見れば、だいたい演奏時間が書かれています。
前半の協奏曲が30分、休憩が20分、後半の交響曲が45分といった具合です。
それを事前に把握しておくだけで「この曲はいつになったら終わるんだ!」という出口の見えない恐怖から解放されます(笑)
それに、長大な交響曲であっても(マーラーの3番は1時間半あります)、大抵いくつかの楽章に分かれています。
その楽章の合間に、緊張を緩めてホッと息抜きできます(やたら咳払いしている人も多いです。演奏中に出ないようにあらかじめ咳をしておこうってことなんでしょう)。
プログラムには楽章ごとの時間までは載っていないことが多いですが、Wikipediaには載っている場合が多いです。
今日の交響曲は20分→13分→15分の3楽章形式なんだと事前にわかっていれば、2回小休憩があるので48分間ずっと緊張し続けなくて済むのです。
最後に
せっかく興味をもってコンサートに来てくださったのなら、指揮者や演奏家が美しい音楽を生み出すその瞬間をぜひ見てください。
生の音楽は一回きり、再現不能だから価値があります。
何回でも同じ音が聴けるCDや配信音源とはそこが決定的に違います。
生まれてすぐ消えていく儚い美しさをぜひ味わってください。
芸術は最初から「わかる」ものばかりではありません。
私もニールセンの面白さがわかったのはつい最近です(笑)
退屈の先に感動があります(ホントです)。
それを信じて、プログラムはカバンにしまって、ご自分の感性のみを頼りに音楽と向き合っていただけたら一ファンとしては嬉しいです。