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現代のベートーヴェンはささみのわさびポン酢和え

最近すっかり界隈で「小うるさいおじさん」という印象が定着しつつある私。しかも同じ話が周回しているというので、いよいよかと思われた方もいるかもしれないが、一応自覚しているのでまだ救いはある。

さて、今日のテーマも何度か書いた話ではある。

例えばこちら。

私はヴィオッティの「エロイカ」を動画配信で視聴し、決していいとは思わなかったのだが、東京交響楽団の次期音楽監督に就任するというニュースはXで大層歓迎されていた。あんまりCD出てるイメージがないが、実演を聴いた人がそんなに多かったのか。

今回このテーマを再度取り上げたのは、近々「エロイカ」を聴きに行く予定だからである。
以前から「今度これこれのコンサートに行く」と告知するほど行けないジンクスがあるので(プレッシャーに感じるのだろうか?)、どのコンサートかは伏せるが、サクサク系ベートーヴェンなのでは?という危惧がある。

クラシックをラーメンに喩えてばかりいて不評を買っている(に違いない)私だが、懲りずに食べ物で喩えるなら、鶏のささみのわさびポン酢和えみたいなベートーヴェンばかり。

鶏もも肉の唐揚げでも物足りない。

ビフテキ!

そういうのが聴きたいのである(さすがに私はビフテキ世代ではないが、わかりやすい表現として使ってみた)

サクサク小気味がよいベートーヴェンなんてごまんとあるわけですよ。そういうのを生で聴いても「またか」と思わされるだけ。

いわゆる巨匠風のたっぷりしたやつは決して時代錯誤ではない。だって今はそういうスタイルが減ってしまったから、むしろ個性的な表現として歓迎されるだろう。

ビフテキなベートーヴェンに飢えてるファンは多いはずだから、「○○の指揮するベートーヴェンはビフテキ並みの食べ応えがあるぞ!」と噂になれば、フジコの「ラ・カンパネラ」みたいに名物になること間違いなし。

「楽譜に忠実」も大事ですよ。でもね、あんまり忠実にやりすぎても「で、何を伝えたいの?」と思ってしまう。
博物館で解説聞いてるんじゃないんです。感動的な芸術を体験したいの!

なんか最近のベートーヴェンの交響曲演奏って練習曲(エチュード)みたいになってるんだよな。
「エロイカ」なんて長いんだから、オーケストラビルディングのためにハイドン演奏させるノリでやってると飽きる! そもそもハイドンやモーツァルトだって個性的にやってほしい。

年末に大植英次さんが神奈川フィルで第九振るけど、大植さんのベートーヴェン聴いてみたいな。あと藤岡幸夫さんも。なんかいい意味でトラディショナルな解釈の名残がありそう。

昔はベートーヴェンがトリだったんですよ。ささみのわさびポン酢和えじゃ、おつまみにはなってもメインにならんっつーの😓

テレビの世界も、日本のドラマより韓国のドラマが支持されるようになったのはロマンティックな世界観だからでは?(私は詳しくないけど)

日本の恋愛ドラマって、なんであんなにラブコメばかりなのだろう。
コメディ要素必要ですか? コントみたいな恋愛ドラマが多すぎる。だからリアリティショーに視聴者を奪われるのではないか。

ロマンティックな情緒が人間には大事、というのは美輪明宏さんが長年言っている。音楽もロマンティシズムが大事。
少し話逸れるけど、かてぃんさんがシティフィル?とラヴェルのピアノ協奏曲弾いてるのを「エンター・ザ・ミュージック」で見たんだけど、第2楽章冒頭のピアノソロが速めのインテンポで、動く歩道みたいにどんどん先へ行くのでびっくりした。あんなロマンティシズムの極致な音楽はたっぷりテンポ揺らして演奏してほしい。

また「小うるさいおじさん」化してきたのでそろそろ話を終えるが、重厚感のあるベートーヴェンはいったいどこで聴けるのか?
ベートーヴェンが「エロイカ」で描こうとしたものって、決してささみじゃないと思うんだけどなぁ。映画で言ったら「ゴッドファーザー3部作」並みの壮大な世界じゃないのかな。

あー、ビフテキが食べたい‼︎

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