過集中で見過ごされやすい3つのデメリット
発達障害を抱える人は、1つのことに極端に集中してしまう「過集中」と呼ばれる状態に入ることがあります。
過集中の間は、普通の人よりも圧倒的に長い時間1つのことに取り組むことができます。それゆえに、「発達障害の大きなメリット」として紹介されることがあります。
しかし、その反面、定型発達の人が気付きににくいデメリットが存在します。今回は、そんな「過集中で見過ごされやすいデメリット」について紹介します。
生理現象に気づかない
発達障害の人は、読書、工作、仕事、ゲームなど様々な場面で過集中状態になることがあります。
文字通り「過剰に集中している状態」ですが、この状態は、脳にドーパミンが全開になっています。
この状態は、目の前のことに全力で集中するため、自分の体内で起きている「生理現象に気付きにくい」という特性があります。
トイレに行くのを忘れて便秘になる
生理現象に気付ない、ということは「おしっこ/うんちでトイレに行きたい」という反応にも、気づくことが遅れてしまいます。
よって、特にトイレに行くことに忘れると、
便秘
腹痛
膀胱炎
吐き気
などが、身体症状が発生するので、気づいた時には、大きなダメージを受けることがあります。
また、本人が「これは過集中の影響だ!」と気づいても、体はまだ反応がおさまらないため、苦しみが続き、最終的に救急車を呼ぶことになるケースも多々あります。
トイレトレーニングの遅れ
低年齢の発達障害の子どもは、大人よりも過集中にもなりやすいことが多いです。
よって、「おしっこ/うんちでトイレに行きたい」という反応に気付きにくいので、トイレトレーニングは、周囲の子どもより遅れてしまうことがあります。
感覚がないままトイレに行っても、出すことはできません。また、膀胱に溜まってきていても、気付かないので、お漏らしも多くなります。
このため、保護者や保育園の先生は、悩みの種になることが多いです。
低血糖
トイレ以外にも、「お腹がすいた」という生理現象にも、気づくことが遅れてしまう子どもいます。
そのため、時間になって適切に食事/お菓子を取れれば、いいのですが、過集中で食事の時間が空いてしまうと、低血糖になって突然倒れてしまうケースもあります。
よって、食事のタイミングは保護者、本人とも意識しておくことが重要です。
過集中への対応
対応としては、
自分が過集中になりやすいことを自己理解する
タイマーをセットする
どこまでやれば休憩するか決めておく
時間になったら友達・仲間に声をかけてもらう
などの対策が必要になります。特に、過集中が分かっていても本人で止められないケースもあるので、人に頼ることはとても大切です。
そのほか、食事でアマニ油/えごま油を摂取する、病院で漢方の防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)を処方してもらう、など、食事、医療の面からも対処する方法も有効でしょう。
終わりに
過集中は、強みにもなりますが、デメリットも大きい特性です。
本人も周囲もその特性を理解して、困り事がないようにして行きたいですね。
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