自己を消す、究極の断捨離
ちょうど今知りたかったことがピンポイントで書かれていて、読みながら何度も膝を打ってしまった本です。
「苦しみとは何か」から始まり、苦しみから無我の状態に導くワーク、無我とはどんなものかまでエビデンス満載で解き明かしていきます。
幸せは「頭の中で作り出した『自己』を消すことで得られる」という話で、不要なものはどんどん手放すことを良しとする現代において、究極の断捨離だなと思いながら読みました。
全体的に「受け入れる・受け止める」という静かで受動的な内容なので、夢を追いかけたり成功したいと願う人には物足りないとかも知れません。執着を手放すことで楽になるので挫折は減ると思います。
苦しみの正体
一の矢、二の矢の表現が秀逸です。
嫌なことがひとつおきると、その場で不快な思いをして終わる(一の矢)のではなく、自分の不甲斐なさに結びつけて落ち込んだり、世の中は悪人ばっかりだと恨んだり、過去の問題を蒸し返したり、未来に不安を感じたり(二の矢)と、架空のストーリーを自ら作り出して長期的に苦痛を感じる。
これが苦しみの正体で、本来は一の矢の直接的な痛みだけで済むことを、抵抗して反芻してこじらせて自ら傷口を広げてしまうのですね。
あ〜〜めっちゃわかるわ〜 笑
自己とは自分自身を守るために生まれた機能の集合体であり、ネガティブな反応は危険から身を守るために自己が作り出したもの。
であれば、無我状態になり自己がネガティブストーリーを生み出すのを阻害すれば苦しみは減る、という理屈です。
自己が消えても意外と平気
自己が消えた「無我」の状態は、それこそ無我夢中なとき、ベッドでまどろんでいるとき、何かに集中しているときなど、日常にたくさんあります。
自分の顔や名前や過去や未来なんてどうでもいい、思い出す必要もないときです。
社会生活では自己は必要ですが、自宅や移動で一人の時は無我状態を作りやすいです。具体的な方法は本を読んでいただくとして、修行僧みたいに特別な環境に身を置かなくても無我になることは可能です。
意図的にオンオフできるようになればいいのです。
無我の恩恵
他者に寛容で物事の判断がうまく、高い幸福感を保ち続ける。
修行して無我をある程度使いこなせるようになっても、仙人や世捨て人みたいにはなりません。欲望や痛みがなくなることもないですが、こじらせて引きずる苦しみが減って智慧と幸福感が得られるならいいことづくしじゃないでしょうか。
私自身も効果は実感できていて、ちょっとしたことでは動じなくなりましたし、特別なことがなくても幸福感で満たされることが多くなりました。
頭の中で常にごちゃごちゃ考えるのをやめて、呼吸や感覚に集中する。
それだけでも思考疲れが減って、特に朝は無垢で新鮮な気持ちでいられます。
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この無我の恩恵は奇跡のコース(奇跡講座/A Course in Miracles)の自我(エゴ)を手放した状態にとても近いと感じます。
自己が自身に不都合な物語を作り出すところなんかもそっくりで、しかもこっちの方が断然読みやすいので、コース学習中の人は読んだ方がいいです。理解を大幅に早められます。
本に出てくる禅僧のコメントもワンネスですし、和も洋も行き着くところは同じなのかも知れません。