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令和3年度重判

司法試験受験時代はチェックしていたような

久々に重判を買った
最近図書室通いをしているから、図書室で確認を待つのもありかと思ったけど、異成婚限定制度違憲訴訟のことや、子の監護者指定審判等の申立権者の範囲など、他にも興味深い解説もあったり、で

狙いの一番は、令和3年2月17日東京地裁判決である

第一審判決が重要判例になるって、この先の意義を思うとワクワクが止まらない

タイトルにもドキドキする

裁判上の離婚の場合に裁判所が父母の一方を親権者と定める規定の合憲性

そう
上記判決の対象は、あくまで、民法819条2項なのである

西村枝美教授が解説する

  1. 「養教育の権利」は憲法上の権利か?

  2. 婚後単独親権制度の憲法適合性

  3. 憲法14条1項違反の審査について

改めて、R3.2.17判決について「公法私法を含めた「子を養教育する権利」についての判断ではなく」、と切り込んでいく

養育権をテーマにした訴訟は別にある

本判決については、「民法上の親権制度に対象を限定したうえで、憲法13条上の権利制を否定し、もっぱら憲法14条1項を審査の中心に置いた。」とまとめている

当時よくわいた、「親子関係の中で育まれる親および子それぞれの「人格的な利益」」について、憲法24条2項の考慮事項としていること、24条2項は、14条1項の審査において併せて検討され、24条2項自体との適合性審査は簡潔なものにとどまっていること、夫婦同氏制最高裁判決との違いを意識すべきという指摘など言及している。

「何より注目」といって、子を養教育する権利が憲法13条の保障外とされた点を挙げている

子を養教育する権利の憲法上の権利性が議論として明確に問題提起されている!!
本判決の理解としては、これを否定しているという解釈になっている

しかし、憲法上の権利性については、肯定説と否定説があるといって、詳細に説明されている

子を養教育する権利の憲法適合性肯定説

→憲法13条根拠説

「親密な交わり・人的結合の(に関する)自己決定権」のうち、家族に関することについて憲法24条で保障されないものは13条で保障され、「親の子どもを養教育する事由」は「個人(親)が自己の人生をどのようなものとしてつくりあげるかという自己人生創造希求の営みと緊密に関連」しているため同条で保障される。

竹中勲「憲法上の自己決定権」

 「子どもの養教育の自由」への「直接的制限に対しては、厳格な審査がなされねばならない」

米沢広一「子ども・家族・憲法」

否定説の紹介もしつつ、本判決が否定説寄りであるとの評価の上で、解説をする西村教授は次のように指摘する

そもそも「利他的な子のための権限」であることが憲法13条の権利性を否定する理由になるのだろうか。

もっともな指摘に思う
ごく自然に疑問を表明している・・・ってことは、肯定説の検討の余地が当然あるわけである

次の項目もついに確立だったのだと思うと感動を覚える

憲法学では、民法の離婚後単独親権制度の合憲性につき、違憲説と合憲説がある。


おなじみの憲法学者の名前が連なる

これは、たとえば、学生の中でのディベートなどにも取り組みやすくなっていく予感

最後の憲法14条1項違反審査の項目においても、西村教授による素朴な疑問が並べられていく

ここが興味深い↓

確かに民法は、離婚後、親権のない親と子が会うことなどをとくに禁止してはいない。とはいえ、離婚に連動して親権者としての法的地位の変動が民法により生じている。法律婚をしていた以上は、「制度後退禁止」原則を妥当させ、もともと親権を有していなかった場合の制度構築よりも立法裁量が狭まるべきものとして審査の厳格度を上げて統制すべきではなかったか

何か違和感が芽生えている印象が伝わっている・・・しかし、だ。「法律婚」であることを評価して、立法裁量を限定すべきという思考枠組みは、それ自体、法律婚の尊重に由来し、非婚との差別を放置するものである

良いか悪いか、婚姻中共同親権といっても、立法裁量にももちろん、親子関係が守られるかという個別のケースにおいても、全く影響しない

婚姻中共同親権は幻であるという声もある

最後は、法制審議会が審議を開始しており、離婚後共同親権も検討対象の一つとなっている、と結ばれている

期待している

制度論もながめつつ、個別の案件での救済策も模索する

研究もやっぱり重要であるのだ、としみじみ感じる

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