伊藤大介さんの新たなたたかい 3
伊藤大介さんにとっての略式手続のデメリットとは
荒巻靖彦さんへの傷害被疑事件で大阪地方裁判所に公訴を提起された伊藤大介さんですが、ご本人のFacebookにおいて、略式手続を拒否して正式裁判を選択したと発表しています。
略式手続は被疑者が憲法に基づく公開の法廷での裁判を受ける権利を放棄して罪を認める意思表示に基づいてなされるわけですから、被疑者が正式裁判を求めることは何も不思議ではありません。ただ、略式手続には略式手続なりのメリットもあることは確かです。
公判は、手続の適正を保障するために公開で行われます。そして、公開の法廷での審理は被告人にとっては傍聴人に被疑事実だけでなく自らの住所や前科前歴についても晒すことにもなります。北新地大学院生リンチ事件で略式手続に付された金良平さんについては、その後の民事訴訟の送達を巡るやり取りを見るに、あっさり訴状が送達されて支援の態勢が整わないまま民事訴訟が進んでいくことを危惧したものであるとも考えられますし、被告人として被疑事実を公開法廷で明らかにされることでヘイトスピーチとたたかい「京都朝鮮学園から花束をもらった英雄」というイメージが傷付くことをおそれたものとも考えることもできます。
伊藤大介さんが民事訴訟の訴訟代理人としてしばしば依頼する神原元弁護士が所長を務める武蔵小杉合同法律事務所でも、略式手続となった場合には被告人の利益であるとして成功報酬が発生することが明記されています。
伊藤大介さんにとっての正式裁判のメリットとは
伊藤大介さんにとっても、被疑事実が公開法廷で傍聴人に明らかにされ、反差別団体の中で最も多くの逮捕者や有罪確定者を出した男組と親密な関係を保ちながらも、一貫して犯罪とは無縁に活動を続けていた自らのイメージが傷付くというデメリットがあるのは想定できることでしょう。ただ、略式手続となった場合に伊藤大介さんにとって大事なものが失われることから正式裁判を望んだと私は考えます。それは時間です。
略式手続となった場合に想定される事態
略式手続となった場合、罪を認めるわけですから、有罪が確定するまでの時間は正式裁判と比較して非常に短く、伊藤大介さんは有罪確定までになさなければならないことを早急に進めなければならなくなります。それは株式会社ハウスポートと株式会社e-ハウスの役員辞任です。
宅地建物取引業法では、一定の罪について有罪が確定した者が役員であった場合に宅地建物取引業の欠格事由に該当することになります。会社が宅地建物取引業を継続して営むことが重要ですから、有罪が確定する前に伊藤大介さんが役員を辞任することは想定されることです。ただ、将来的に伊藤大介さんが欠格事由に該当しなくなったときに速やかに会社を掌握しておく道筋を整えておかなければならないと考えていることも十分に考えられます。荒巻靖彦さんが殺人未遂容疑で逮捕され、事件について大阪府警が引き続き捜査しているという段階で伊藤大介さんがハウスポートグループの中核企業である株式会社ハウスポートの代表取締役として役員に就任していることもそれを裏付けるものであると考えられます。もちろん、ハウスポートグループ企業の株式は伊藤大介さんをはじめとした親族が保有していると思われますが、あえてそのような時期に代表取締役とならなければならない事情があったと考えるべきでしょう。
公判での審理だけでなく、ハウスポートグループの商業登記簿の動きについて着目するのも興味深いかもしれません。