このF1グランプリ誰か知りませんか?
多分、今から遡ること、20年ほど前だと思います。
2000年か、2001年か。
当時私が、高校2年生か、3年生だった頃。深夜に受験勉強をしていました。
たまたまつけたテレビでやっていたF1中継。
それまでF1など観たこともなく、そんなモータースポーツがあることすら、うっすらと知っている程度でした。
それが、偶然つけたテレビの世界で突然始まるF1グランプリ。
開催されている国がどこなのかすら、記憶にございません。
しかし、しかし。引き込まれました、あの音、あの速さ、あのミハエル・シューマッハ!
赤いボディに赤いスーツ。誰もが憧れるフェラーリの紋章。
フェラーリは、高級車ではなく、レーシングカーでもあったのか!そして、日本の車も走っているじゃないか!タイヤは、ブリヂストン!私の自転車もブリヂストン!(すみません・・当時の私の知識は、皆無でした。)
なんて衝撃を受けながら、食い入るように観ていると、ぐるぐるとコースを周っていた車たちが、次々とスタート位置へとつき始めました。
おぉ・・。今からレースが始めるのだな。
あの目立つフェラーリが先頭の方のスタート位置へとつきました。
しかし、このスタート位置はどうやって決まるんだ。(この時、予選の存在を知りませんでした。)
そんな女子高生の疑問をよそに、いざ始まるレース!!
と、思ったら・・・先方にいたフェラーリがどうやらエンストか、何か発車できないトラブルを起こしたらしい。
解説の方が、しきりに「シューマッハ!シューマッハ」とフェラーリを呼んでいる。
彼は、シューマッハさんだ。あのフェラーリに乗っているのは、シューマッハさん。そんなテレビ越しの彼との出会いをしていると、
シューマッハさんは、先方から最後尾へとスタート位置を変えさせられていました。
えっ!!!
びっくりしました。先頭でスタートを切った方が有利だとど素人の女子高生の目から見ても明らかだったからです。
そぉか~、フライングだって2回すると失格になるもんなぁ。
とシューマッハさんへ憐みの目を向けようとした・・私は、浅はかでした。
シューマッハさんは、偉大な方だったのです。
最後尾からフルスピードで追い上げていくフェラーリ。一気の5台、6台と他の車をごぼう抜きしていきます。
ぐんぐん追い上げていくフェラーリ。レースは、始まったばかり、こんなの勝てないじゃん、と決してあきらめていない。
それどころか、自分こそがトップに立つのだから、前の車よ、どいてくれと言わんばかりの姿勢に一観客であった私は、みるみるうちに引き込まれていきました。
車が車を抜くのは、簡単ではありません。普通車であっても、なかなか追い越しは、難しいし、細心の注意が必要です。一般道であれば、そうは追い越しをしませんしね。
ましてや、F1レース。時速230キロを超える速さで一つなぎの輪になって走るF1マシンを外から追い抜いていく。しかも、コースは、一直線ではなく、曲がっているんです。そう、カーブをくねくねとマシンを右へ左へと動かしていく。
シューマッハさんのマシンは、どんどん仕掛けていきます。ここだと思った瞬間に、前方のマシンの右や左の隙間を潜り抜けて。
赤いフェラーリが、サーキットをまるで一本の針のように貫いていく。
こんなレース展開、観ている方は、興奮せざる負えません。サーキットに憑りつかれた観客を沸かせていく。
頑張れフェラーリ。頑張れシューマッハさん!
全く、F1のファンだったわけではありません。知識は、皆無です。
でも、あのグランプリの、あのサーキットから沸き上がる熱さを感じたのです。
ピットからフェラーリを見つめるチームメイトの方たちの眼差し。その期待を一身に背負いながら高速で走り抜けるシューマッハさん。
素人の私の目からも、チームが一つになっているのを感じました。
そうか、F1ってチーム戦だったのか。だから、なおさら、頑張れるんだ。
瞬きよりも速く走っていくマシンには、たくさんの人の手と思いが乗せられているんだ。
シューマッハさんは、レースも中盤を過ぎる頃には、3位にまで追い上げていました。
頑張れ、頑張れ!このままトップへ・・・。
そう思いましたが、このグランプリでシューマッハさんは、優勝しませんでした。
確か、私の記憶が正しければ、タイヤがパンクして、レース途中でリタイアされてます。
マシンをピットのチームへ引き渡し、サーキットの片隅にちょこんと一人で座り、コースを眺めているシューマッハさんの姿を鮮明に覚えています。(多分、このグランプリでのことだったと思います。)
あの頃、受験勉強という人生の大きな壁にぶつっていた私は、何となく、モチベーションというものをどこかに置き忘れてきておりました。
ただ勉強する、何となく勉強する。人生にこれといった目標も夢もなく、時期が来たから、大学に入るためにやらなければならないことをやる。
そんな夜を毎日毎日迎えていました。
でも、シューマッハさんは、このレースで教えてくれました。
「勝つ」ために走っていくということを。
どんな時だって、人生にだって不測の事態は、起きます。こんなはずじゃなかったと思うことは、ざらです。
シューマッハさんだって、有利なレース展開には、絶対トップでスタートを切ったほうが良かった。
でも、そうできない状況が起きた。それでも、「勝つんだ。」
その不屈の精神に、あの頃の私の根幹を揺さぶられた気がしました。
彼のレーススタイルには、人を魅了して止まないものがある。
後々分かったことですが、シューマッハさんは、「皇帝」と呼ばれるほどの偉大な方でした。
その後、ちょくちょくF1中継を観たりして、シューマッハさんの優勝シーンに何度か合わせてもらいました。一度だけ、鈴鹿にも観戦に行きました。
身体の中にまで響くエンジン音。眼前に広がるサーキット。F1ってまるで異世界のようです。
この中で、素晴らしいレース展開を見せてくれたシューマッハさんを私は、忘れません。
あのレースに勇気をもらった、そう生きてきました。
現在、闘病中のシューマッハさんが、回復されることを願ってます。
そして、この私が観たグランプリは、何年のどこのグランプリですかねぇ・・?
誰か、ご存知の方、コメントで教えていただければ幸いです。
なんで忘れちゃったかなぁ。。