心折れる秋冬、救いはハーブと根菜(自然栽培の記録vol.6)
耕さず、虫を敵とせず、肥料もほとんどやらない自然栽培。有機・無化学肥料栽培の貸農園で畑を借りて、保温のためのビニールマルチを使わずに秋冬野菜の栽培に挑戦しました。
一年目は参考にしている本の通りに、ほとんどの野菜が順調に育ちました。これは前に借りていた方の残肥があったからで、肥料をやらなくても通常の有機肥料を使った栽培と同じようにできたのでしょう。
二年目は草を刈って敷く土作りもまだまだ途中の段階で、土の養分は一年目より減った状態、虫の生態系のバランスもとれていないので、野菜はゆっくり育つか、芽が出ても虫に食われて消えるか、枯れて消えるかの繰り返し。隣の区画の野菜がビニールトンネルの中で青々と育つ中、自分の区画はほぼ茶色。追い打ちをかけるようにモグラがやってくるようになって、(畑にモグラがやってきた)やっと芽がでた葉物野菜も根が張れずに育たたず。他の区画と比べても仕方がないとわかっていながらも比べてしまうのが性。
三年目はますます土の養分がなくなり、結球野菜は結球しないか、通常より何か月もかかって結球しました。葉物は一、二年目は畝に栽培する場所を決めて丁寧に条播きしていたのが、三年目になると収穫を期待しなくなり、芽が出てきたらラッキーくらいの気持ちで適当に種をばら撒くようになりました。
そんな中で、秋冬に成長と収穫の喜びを感じさせてくれたのが、ハーブと根菜でした。ほとんど茶色の区画の中で、レモングラスやカモミールやルッコラ、アーティチョークが育っているのを見ると、気持ちがほっこりしました。
サツマイモや、ヤーコン、菊芋が収穫できると「やっぱり収穫できるって嬉しい!」と感じました。
二、三年目が鬼門と言われる自然栽培。土の養分が年々減っていき、土作りもまだまだ途中で、だんだん作物が育たなくなっていきます。その間、育たない、採れない忍耐ばかりでは続かないと思うのです。やぱり、大きくなくていいから、小さくてもいいから何かしら収穫はしたいもの。おすすめはもともと生命力の強いハーブ、瘦せ地でも育つサツマイモ、食べる部分が虫の影響の少ない根菜類です。玉ねぎやニンニク、「健康野菜」や「スーパーフード」とも呼ばれるヤーコンや菊芋も病害虫の影響が少ない育てやすい野菜です。ただし、菊芋は草丈が2m以上になり、堀り残しから翌年も発芽して生育範囲が広がっていくので植える場所を選びます。貸農園ではお隣との日当たりの兼ね合いで注意が必要です。私の場合は、ちょうど貸農園の端の通路沿いで、隣に区画のない場所が北側だったので、植えることができました。
収穫ばかりに目を向けると心が折れがちですが、自然栽培の楽しみは、だんだん変わっていく土の様子や、畑にいる虫の変化への気づきにもあります。畑の草が増えて、根っこを残して刈っていると、耕さなくても土がだんだん柔らかくなっていくのを実感できます。一年目に比べて二年目、三年目と支柱がだんだん深く刺さっていくようになりました。寒い冬、枯れた敷き草の下にいるテントウムシを見つけると、こんなところで寒さをしのいでいるんだなと思い、通路の雑草にいるコガネムシを見つけると、ここに雑草があるから野菜まで来ないでとどまっているのかなと思ったり、二年目にはカマキリを見つけて、天敵もやってきたんだなと思ったり。
ちなみに海外では「インセクトホテル」という虫のための住処を木材や石や枯れ葉で作って畑の一角に置くこともあるそうです。呼び寄せたい虫によってさまざまなホテルデザインがあるとか。自然栽培では草を刈って敷いて、虫が越冬できる自然の住処を作っているようなものですね。
そんな気づきの中で穏やかに秋冬を過ごせたらよいですね。
自然栽培の記録シリーズはこちら↓
自然農との出会い(自然栽培の記録vol.1)
一年目の緑肥の失敗から学ぶ(自然栽培の記録vol.2)
トマト、「苗から育てる」から「種から育てたい」へ(自然栽培の記録vol.3)
緑ナスが食べたい!種から育てる固定種(自然栽培の記録vol.4)
忘れられない味(自然栽培の記録vol.5)
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