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自然農との出会い(自然栽培の記録vol.1)

自然農を知ったのはいろんな偶然が重なってのことでした。気になるテレビ番組、本屋さんで目にした本、たまたま食べた美味しいりんご、こんな感じが好きだなというものを辿っていったら、自然農という栽培方法を知ったのです。

まずは好きなテレビ番組の「猫のしっぽ、カエルの手」(NHKEテレ)。イギリス出身のベニシアさんが京都大原でハーブと花を楽しむ手作りの暮らしが紹介されていて、そんな暮らし方に共感して2010年の放送当初から楽しみにして見ていました。この番組で、野菜だけではなくハーブや花も一緒に畑に植えて景観も楽しむ「ポタジェ」というものを知りました。
当時、私は園芸ボランティアのつながりで1畳ほどの小さな畑を借りていて、この畑をポタジェみたいにしたい!と思ったものでした。そしてピーマンの隣にナスタチウム、トマトの近くにバジルを植えるなど試してみました。黒いビニールマルチは見た目から使いたくなかったので、手持ちのヤシの実繊維を株元に敷いてマルチングしていました。

その頃本屋さんでたまたま目にしたのが『1㎡から始める自然栽培』(竹内孝功著、Gakken、2015年)という本でした。この表紙の写真にとても惹かれて手に取りました。畑の畝が緑でいっぱいで、その中にレタスとキャベツが植わっていて、きれいだな~、こんな感じ好きだな~と。中に目を通してみると、耕さずに草を活かして、無農薬で肥料にほとんど頼らずに野菜を育てていく方法が書かれていました。「草を活かす」というところが心の琴線に触れました。雑草は取るもの、土はよく耕すものと思っていた私には耕さずに雑草を刈って敷いてマルチングしたり土作りをする方法は目から鱗でした。

同じ時期に、たまたま実家から送ってもらった野菜と一緒にりんごが一つ入っていたのですが、一口食べて「何だろう、この美味しさは!」と衝撃を受けました。あまりに美味しかったので品種を知りたいと実家に電話して聞いてみると、品種かどうかわからないが、なんか書いてある紙が入っていたから一緒に送ったとのこと。そういえばリンゴと一緒に小さな紙切れが入っていたなぁ、確か奇跡とか何とか書いてあったなぁとネットで調べてみると、『奇跡のリンゴ』(石川拓治著、幻冬舎、2008年)という本がヒットしました。その本は、リンゴ農家の木村秋則さんがそれまで不可能と言われていたリンゴの無農薬栽培を可能にした奮闘記でした。私が食べたリンゴが木村さんのリンゴがどうかは定かではありませんが、数少ない記憶に残る味であったことは確かです。気になってその本を読んでみると、ここでもまた自然農的な栽培方法の話と繋がったのです。

そして、竹内孝功さんや木村秋則さんの本の中に共通して出てくる福岡正信さんの著書『自然農法 わら一本の革命』(春秋社、2004年)が気になり読んでみました。この本で自然農法の理念ってこういうものなのかと学んだ気がします。そして、福岡正信さんの名前がベニシアさんの著書『ベニシアの庭づくり ハーブと暮らす12か月』(世界文化社)にも出ていたことに後から気が付いたのでした。

その他、雑草の調べ物をしている時に見つけたマイナビ農業の連載記事に「畑は小さな大自然」というものがあり、そのつながりで連載記事を書いているそーやんさんのYouTube動画に辿り着きました。その動画の畑の風景をみて「なんて素敵な畑なんだろう!」と見入ってしまいました。畑の通路は雑草のハマスゲを活かした緑の道で、畑全体が緑いっぱいの癒しの空間になっていました。こんな畑にしてみたい!と心躍りました。
ちなみに連載記事の「畑は小さな大自然」シリーズは、私が読んだ当時は記事を全文読めたのですが、今は会員にならないと全文読めないようです。

こうして興味の赴くまま色々な方の自然農を調べていました。いよいよ実際にやってみたい気持ちが強くなり、2020年5月、ついに畑を借りました!借りた畑は有機無農薬栽培の貸農園で10㎡の区画です。一区画に幅約100㎝の畝を二つ立てることにしました。前に借りていた人が残していったニンニクを残しながら、畝の方向を東西から南北に変えるところから始めました。

借りた直後、手つかずの畑。畝はまだ東西方向です。


畝を南北方向に変えました。2020年5月の1番ウネ
畝を南北方向に変えました。2020年5月の2番ウネ

刈って敷く草もないところから始まりました。
「あ~、早く草が生えないかなぁ」と雑草を心待ちにしていました。耕作放棄地や自然農の農園でもない限り、貸農園で自然農を始めた人はこう思った人も多いはず。


表札を立てて、いよいよ自然栽培の実験の始まりです。

この栽培記録では、竹内孝功さんの本を参考にして、自然栽培という言葉を使って畑づくりの記録を綴っていきます。

続きはこちら。
一年目の緑肥の失敗から学ぶ(自然栽培の記録vol.2)
トマト、「苗から育てる」から「種から育てたい」へ(自然栽培の記録vol.3)
緑ナスが食べたい(自然栽培の記録vol.4)


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