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The Art of Marketingを読んだ


マーケティングに携わっている人には、よく知られた存在かもしれませんが、著者は音部大輔さん。P&Gにて、アリエールやファブリーズのマーケティングマネジャーとして、ブランド構築を行った人です。独立後は、ダノンや、ユニリーバ、資生堂のマーケティング組織強化やブランド戦略の支援を行ってきた、日本一の敏腕マーケター!

彼の著者が、「The Art of Marketing マーケティングの技法」です。

パーセプションフロー•モデル

音部さんが、300ページを割いて紹介しているの
が、「パーセプションフロー•モデル」。
その名の通り、消費者のパーセプションを中心とした、マーケティング活動の全体設計図です。

よく使われる「カスタマージャーニー•マップ」は、ファネルの構造を想定して作成されますよね。まず【認知】をしてもらい、出来るだけ多くの人に【購入】してもらう。そこから【再購入】を期待する。上から下に向かって減っていく構造です。
それに対して「パーセプションフロー•モデル」は、エレベーターの構造を意識して作成されます。【購入】して【満足】してくれそうな人にいかに【認知】してもらうか。上の段階での無駄な獲得を減らすことで、変換係数を高めようとする作戦です。


では、具体的に、どのようにパーセプションを想定していくのか。実際に自分の購買行動を振り返ってみるのが、よい練習になります。
項目は「パーセプション」と、それの原因となった「知覚刺激」、さらにその「知覚刺激」をもたらした「メディア」の3つです。その他の項目は、実践編に譲ります。

たとえばファブリーズの例では、

パーセプション1【現状】
「よその家に行くと、そのお宅の匂いを感じることがあるわ。自分の家でもしているかしら?置き型の消臭剤を置いているから大丈夫かな」
知覚刺激1
「空気に広がった匂いは、布製品の繊維に入り込み、少しずつ空気中に出てくるので、部屋の匂いの原因は布の匂いです」
メディア1 戦略PR, テレビ広告)
パーセプション2【認知】
「布だったの?!空気の匂いをとるだけでは一時的な解決にしかならないわね」
知覚刺激2
「ファブリーズなら室内の洗いにくい布製品の匂いを取り除きます」
メディア2 テレビ広告)
パーセプション3【興味】
「いつものお店で見つけた。試しに買ってみようかな」
知覚刺激3
「今ならキャンペーン実施中」
メディア3 店頭イベント)

……このあとも、購入、試用、満足、再購入、発信の項目ごとに、パーセプションと、その原因となる知覚刺激andメディアを書いていくと、自分の購入に対するパーセプションモデルが出来上がります。

実際のマーケ策立案に当たっては、このモデルを使いながらPDCAを回していくことが肝になるとのこと。

しっかりした厚みのある本ですが、無駄なページは1ページもありませんでした。
マーケティングに携わっている方に限らず、一読の価値ありと思います。

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