#2【運動会】練習しない子冷たい視線の大人達
土曜日は息子の中学の運動会だ。本人はずっと運動会に出たいと言っていたのに、先生と揉めたことで意地になって学校を休んだ。
今日も体育の授業も出ず、午後からの準備にも行かずダラダラしている。私も見かねて聞いた。
「運動会はもう出んの?」
「いや、出る」
「はあ?それやのに練習行かない、準備も行かない、そんなんで当日だけ行って友達が仲良くしてくれる?まだ間に合うから行きなさいよ!」
私がキツめに言うと息子は体操服に着替え始めた。
「送って行くわ」
「自分で自転車で行く」
小声で言った後は、何を話しかけても答えてはくれなかった。しばらくして出かけて行った。
今までも一人で自転車で出て行くと塾や学校に行かないでブラブラして知らん顔をして帰って来ていた。今日も学校行ってないかもなあと思っていた。
すると元気に帰ってきた。明日のプログラムや保護者の入場券を渡してくれた。どうやらお弁当が必要らしい、切ない。なんとか今日はうまく行ったらしいと安心していた。
夕方になると担任から電話がかかってきて、遅れてきたのでグランドの石拾いしかしてない、と聞かされてすみません、と謝る私だった。でもその後の話はちょっと耳を疑うものだった。
「息子さんは練習ほとんどしてないんですよね。他の子達は朝練に来て毎日運動会の練習をしているのに。
そこに温度差があるの気がついてくれるのかなあと思いまして。練習をしてないと絶対に失敗する種目があるんですよ。失敗して順位が悪いと他の子達は冷たい視線を向けることになるし、誰かの失敗を責めることはないようには生徒に言い聞かせてありますが、お母さんからも息子さんに言ってもらえませんか?明日来てもみんなが受け入れてくれるかどうかはわからないということを。そんなひどいクラスではないと僕は思いたいですが、なんせみんな若い、14歳ですからね」
なんかもう運動会を休みます、と言えばいいのか、って私は思った。真面目に練習している子が報われるように、真面目ではない子はできれば遠慮してほしいと。先生も言いにくいことではあっただろうけど。
息子は体の成長に伴って膝や足首が痛いと毎日のように言っている。練習に参加した日は必ず痛くてわめいていた。先生にその話をした。すると先生は何故が声のトーンが変わり、嬉しそうになった。
「足が痛いんですか?種目はどれも走るんですよ、大丈夫でしょうか?」
「最初は走れてもだんだん後の競技は足が痛んでくると思うので、もしかしたら本人が痛い、というかもしれません。その時は代わりの子はいますか?」
「今も練習に来てない時は代わりの子を入れてますのでまたその子達を入れますので大丈夫です。いやー、足が痛かったんですか。それは知らなかった。お母さんから先にいい情報を聞かせてもらってよかったですよ。無理しないように僕から競技の前に聞きますね。」
先生は嬉しそうだった。難しい競技からは息子は外されるだろう。順位がつかない競技だけ出ることになるかもしれない。私はいったい誰の味方なのだろうか。息子に競技の大変さ現実を教えるのではなく、普通の子がやっていることができなければ、こういうことになるという社会人的人間関係を教えてやっているようだ。本当は運動会は生徒みんなのものではないのだろうか。休みがちの息子は頑張っているとは思われていないことが先生とのやり取りではっきりした。
息子に先生からの話をしたらもう運動会休む、と言った。当たり前だと思う。私もそんな面倒くさいこと、いちいち精神が削られるような運動会なんて出なくていい、と本音では思う。しかし、時間が経つと息子はやっぱり運動会に出たいと言ってきた。この子はいつもこの葛藤に苦しんでいる。本当にかわいそうに感じる。幼稚園の頃からちっとも変わっていない。
結局足のことを考えて、出る種目を減らしてその分しっかり応援してあげなさい、ということで納得した。
本音では納得してないだろうし、出れるなら全部出たいに決まってる。
私は自分が正しいとは思っていない。もっと我が子のために主張すべきなのかもしれない。みなさんは不登校でも運動会に自由に参加できると思いますか?我が子なら主張できますか?私はいったい誰のためにこんな交渉をしているのか、自分のことが嫌になります。
明日お天気になりますように。お弁当がんばります。
伏線となる担任と揉めたお話はこちら
*サムネイルは「inagakijunyaさん」の素敵な画像をお借りいたしました。運動会らしい素敵な写真ありがとうございました。
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