空想の宙「静寂を叩く」 大乗寺十三室 | 十文字美信 /資生堂ギャラリー
日本海に面する、兵庫県香美町。ここには、円山応挙とその一門が描いた障壁画をまるごと今に伝える寺がある。「応挙寺」こと大乗寺だ。
筆者は、昨年2月に訪問。遠路はるばる向かったのは、いつも収蔵庫で保存されている襖絵が、13年ぶりに本来の堂内へ戻され、3月まで期間を限って公開されていたからだった。応挙らによる空間美をありがたく、じっくりと堪能させてもらった。
このとき、襖絵が一時的に戻されていた第一の目的は、じつは「公開」ではなく、「記録」のほうにあった。高精細のデジタルデー