自家製天然酵母のバゲットレシピと作り方工程&コツ!(強力粉+薄力粉使用)
強力粉+薄力粉バゲットの成り立ち
バゲットを作るとき、「フランスパン専用粉」「準強力粉」というものが一般的には使われています。強力粉でつくると、バゲットらしい軽やかなクラストのバリッと感と、中のもちもちクラムが実現できないのです。
しかし、バゲットが大好きな人にとって、しょっちゅう焼くためには準強力粉ばかり買ってもいられません。なぜなら、バゲットを焼くための準強力粉は、スーパーでは手に入りづらく、さらにネットで注文しようと思っても、強力粉よりもお高いのでなかなか手がでないのです。
フランスパン用準強力粉を入手できる方を、「おっとな~!」と思ってしまう僕は、一度はフランスパン用準強力粉を買おうかと迷ったのですが、一度買ったらあまりに使いやすくってそれしか使いたくなくなって、出費がかさむんじゃないか?!と思い直し、どうにか「強力粉+薄力粉」で実験を繰り返し、美味しいバゲット焼いてやるーーーー!!!!!と気合を入れなおしまして、頑張りました。
そして、とうとう納得できる美味しいバゲットが焼けるようになり、さらにバゲット修行の成果もちょうど同時期に追いついてきて、バゲットらしい見た目に焼けるようになったので、ついに念願だったレシピと作り方を記事にまとめたいと思います!
(この日をずっと待ちわびていました!僕が失敗し続けた経験を元に、成功するコツをわかりやすくまとめて、バゲット修行が苦行になっている方に届けたい!!とずっと思っておりました。僕もコツを探して三千里、ってしてましたからずっと。バゲットがうまくいかない方の力に少しでもなれたら嬉しいです。)
細かい内訳の解説
★加水率70%
★強力粉7:薄力粉3の割合で配合
(全粒粉を混ぜる場合は、強力粉側から30g引いてその分を追加)
★酵母液は水分中の50%
強力粉+薄力粉バゲットの作り方工程とコツ
1、粉を大き目のタッパーに入れ、スプーンなどでよく混ぜ合わせます。
2、酵母液種と水を別の容器に量ってから粉のタッパーに入れ、粉気がなくなるまで混ぜます。
このときこねすぎないよう、あくまでも「混ぜる」だけです。上の写真くらいでOKです。ここはスプーンよりも手の方が効率よく粉気を消せます。
3、しっかり混ざったら蓋をしてタイマーを20分セットします。(20分のオートリーズです。30分ではない理由は、すでに酵母が入っているため、あまり長すぎると発酵が進んでしまうからです。)
4、オートリーズ終了後、塩をあらかじめ別に量ってから生地にまんべんなく振りかけます。ここからのこね方にコツがあります。塩をしっかりなじませようとしてこねすぎてしまうと、バゲットらしさが死んでしまうので、全体にまんべんなく振りかけた後は、まず塩をかけた表面を内側に折りたたむようにし、そのあとはなるべく少ない回数で塩が全体になじむように、生地を握りつぶすようにしながらこねます。「にぎる」とか「押しつぶす」とか「たたむ」という動作を1アクションだとしたら、20アクション以内に塩をなじませ終わるようにしてください。
5、20アクションでこね終わったら、再び蓋を閉めて20分常温放置しましょう。20分後、1回目のパンチを入れます。
パンチは「生地の端を持ち上げて、パタン、と半分に折りたたむ」動作を1アクションとし、四方向からパタン、パタン、パタン、パタンと360℃回したらパンチ終了です。4たたみで1パンチです。
6、再び蓋をして20分常温放置し、20分後に2回目のパンチを入れます。
1回目のパンチの際の写真と比較して見てください。生地のグルテンがつながって、びよ~んと伸びていますね。4たたみ1パンチを入れたら、また蓋をして常温に放置しましょう。
7、そのままストレートに焼成までいってしまう場合は、このまま2.5倍~3倍になるまで常温放置で1次発酵させます。※夏の暑すぎる室内は厳禁。その場合は2時間ほど常温で発酵をとったあと、冷蔵庫に移して2倍になるまで低温発酵させ、次の日に取り出して2時間ほど室温に戻してから次の工程に進むと良いでしょう。また、用事があったり、夜寝るからまた明日、とかいう場合も冷蔵庫を活用するとよいでしょう。冷蔵庫発酵については以下の記事にまとめてありますので詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
参考記事:長時間冷蔵発酵のメリットとは?美味しい甘いしっとりパンの理由とは?
8、約3倍ほどにふっくら発酵し、1次発酵が終わったら、タッパーから綺麗に生地をとり出します。打ち粉をした台に取り出してください。
タッパーから取り出した生地に、下から手をそっと入れて長方形に整えたところです。
長方形の左右から扉を閉めるようにして、中心線よりも少し深く、両側の端が2㎝くらいずつ重なるようにたたみます。
次に上の端からころころと転がしてきて・・・・・・
一番端を軽く留めます。
留めた端を下にしてベンチタイムをとります。
↑僕はいつもさっきまで生地の入っていたタッパーを裏返してかぶせ、ベンチタイムをしています。
9、ベンチタイムは15分です。
15分たったら台に取り出し、軽く打ち粉をして、上から優しく軽く叩きます。このとき、気泡を潰してしまわないように、「気泡を散らす」感じで優しくポンポンと生地を平らに整えていきます。だいたい長方形にするイメージです。
長方形の上側1/3を真ん中より少しオーバーするくらいの線で折りたたみます。このとき、接合部分だけは指を使って強めにキュッキュと押さえてしまって大丈夫です。折ってふっくらしている部分は絶対に触らず押さえず、
ふっくら空気を含んだままの状態を死守しましょう。
次に生地を180℃回転させ、さっき下側だった端をまた同じように折り返して接合します。接合部はさっき指で押さえた部分を目指します。
↑こんな感じで中心の接合を挟んで上下がぷっくり膨らんだ状態になります。
このぷっくりを殺さないように優しく上と下の端を合わせます。
↓↓↓
↑手のひらの、親指の付け根の肉厚な部分で優しく表面を「張らせるように」して端から閉じていきます。ぷちぷちっと言いますが、最大限気泡をつぶさないようにぷっくりを維持です!ここ重要!
閉じ終わったところ↑。ここからさらにもう少し表面を張らせるために、
中心に指を置きながら、外側の表面を「張らせながら」つまみあげていきます。
これは写真を自前で撮っているので片手ですが、本当は両手でやっています。左手の指を中心に起きながら、右手で外側の皮をかぶせてつまんでいる感じです。ここでも気泡をつぶさないようにそぉっと表面だけ張らせ、しっかりつまんで接合していきます。かなり外側から表面を引っ張ってきてつまむので、分かりやすく言うと「もう一度半分に折って、端をつまんで留めている」という感覚です。
↓つまみ終わって中心から両端に向かって両手でコロコロ転がして好きな長さに伸ばしたところです。
台の端にオーブンシートを準備し、生地を転がしながらゆっくり所定の位置まで持ってきます。オーブンシートを動かしながら、生地も同時にコロコロするとうまくいきます。
オーブンシートを後で天板に素早く乗せるために、あらかじめ用意しておいた段ボールにシートごと乗せ、うねを作るようにシートを上に持ち上げて洗濯ばさみで留めます(笑)僕はキャンバスを持っていないので、いつもこうしてうねを作っています。これならキャンバスの上で2次発酵を終えたあとに、またシートに移し替えなくて済みますのでお手軽♪
乾燥する季節は霧吹きを遠くから2プッシュくらい吹いてからビニールをかぶせて保湿し、このまま常温で25~30分放置で(今は室温28℃くらいですが、冬はもっと長めに、真夏はもっと短めになると思います。)2次発酵をとります。2次発酵の見極めは、指の腹でそぉっと生地の横腹の部分を押して、中の空気をふっくら感じながらもやや跡がつく、くらいでオーブンの予熱をスタートします。(250℃に予熱)
我が家のオーブンは250℃の予熱に約20分かかるので、2次発酵はだいたい1時間弱くらいでした。季節によって長さは変わるので、見極めは慣れて体感で覚えます。過発酵にだけはしないように、、、しかしちゃんとふっくら2次発酵するように、、、何度も作っていると、そのふっくら度合いがだんだん分かってきました。
ちなみにオーブンは予熱する前にこんな風↓にセットします。
天板は上の段にセットし、下には小さ目のボウルとスチーム皿が置いてあります。ボウルには100均のグリル石が入れてあります。
予熱前にこんな風に石の表面までたっぷり水を入れています。バゲットが焼き終わるころには蒸気で全部飛んじゃいます。
10、ピピピッとオーブンの予熱終了を知らせるアラームが鳴ってから動き始めます。くれぐれも「もうそろそろかな?」と予想してフライング準備をしないように。生地が乾燥したり、クープが無駄に開いたり、生地がダレたりして失敗の原因に。
ビニールをとって洗濯バサミを外すと、ふっくら膨らんだ生地が出てきます。
11、クープを入れます。さぁ、こびとお得意の図解をしてみたいと思いますよ(・v・)
今回は自信作!頑張って描いたんですよ!!
↑このように、バゲットを上から見て、1/3の真ん中ゾーン内でクープを引きます。クープの数が増えても、このゾーンは守ります。また、クープとクープは重なり合うようにします。
クープナイフは反り返っていますが、持つ向きはこうです。間違っても昔の僕のように逆ぞりでクープを入れちゃダメですよ!笑 そしてこの向きでクープナイフを持った時に、左奥の角っちょで切り込みを入れはじめ、角っちょを含めた奥側の「辺」でスパッと切るわけです。左手は切り込みを入れ始める位置で生地を優しく押さえててあげると切りやすいです。
多くの方や、多くの動画でも説明されている通り、クープナイフは45°に傾け、薄皮一枚を削ぐように入れます。……って言われてもよく分からないじゃないですか。僕も全然わかんないよ!と思いながら何度も何度も試行錯誤しました。そして、クープが開くようになったのですが、コツを説明しようと思うと、これがまた難しい(苦笑)でも頑張って説明してみると、こうです。
生地を上から見ながらクープナイフを持つと、どうしても刃を寝かせるのが難しいので、まずはクープナイフを柔らかく持って中腰になり、目の位置と刃の位置、そして生地の位置がほぼ一列になるようにします。(パン屋さんで働くプロじゃないので、僕がおうちで中腰になってお尻を突き出していても誰にも笑われません(・v・))
この状態なら刃をしっかり寝かせてクープを入れることができるはずです!そしてもう一つのコツは、「薄皮一枚剥ぐように」はイメージ的に「じゃあそれってどうしたらいいのさ!」となってしまうので、刃を寝かせたまま角っちょでスタートの切れ込みを入れたら、迷いのないスピードでなだらかなお皿の凹みを描くように、さきほど予定しておいた斜め線に沿ってスッと刃を滑らせます。その際、刃の上にある生地を持ち上げるような気持ちで、少し上方向に力を加えるイメージで刃を滑らせます。
↑この図は横から見ている時のちょっとオーバーめなイメージ図です。上から見ると直線に見えるはずです。僕のイメージと説明・・・伝わっているでしょうか><。 伝わっていて欲しい・・・!(切実)
僕的に、この「刃の上の生地を持ち上げるような力のかけ具合」にしてから、クープナイフがイイ感じに生地を切り裂いていくようになりました!(それまではどう頑張ってスッとスピードをつけても生地が引きつれちゃっていました。)
12、クープを入れたらスピード勝負です。
(1)台を広く開けます。
(2)オーブンの扉をサッと開いて鍋つかみや軍手をした手で熱々の天板を引っ張り出し、すぐに扉を閉めます。
(3)天板を台に置きます。
(4)段ボールごとシート&生地を天板に乗せ、シートの端を指でつまんで段ボールをスッと素早く引き抜きます。
(5)すぐに用意しておいた霧吹きで全体にプッシュ。(僕は園芸用の普通サイズのスプレーを使用していますが、猛スピードで12プッシュくらいしています。そのうち生地に吹きかけるのは4プッシュくらいで、あとは天板に吹き付けています。)
(6)再び軍手などで天板をつかみ、オーブンの扉をサッと開けて上の段に天板をサッと戻し、すかさず扉を閉めて250℃で20分、すぐに焼成開始しちゃいます。(焼成を始める前の待機時間はとっていません。すぐに焼いています。)
バゲット(小)
クープがしっかり開き、のっぺりじゃない全体的にコロッとした丸みのあるフォルムで焼けたバゲットは、僕が今まで焼いてきたなまこバゲットの比じゃないほどバリッとパリッと香ばしく、クラムはもちもちしっとりで本当に美味しい!
フィセル(横笛のように細いフランスパン)
細く成形しているぶん、フランスパン特有のハードで香ばしいクラスト部分が多くなり、クラムが少なくなります。そのためか、クラムがよりもちもちしっとりが凝縮されたような美味しい食感で、大好きなクラストもたっぷり楽しめて大好きなパンになりました!
これからもっともっとカッコいいバゲットを焼きこなしたい!
バゲット修行を始めて約1年の今。こうしてバゲットの作り方の記事を公開できるまでに成長した自分をちょびっとだけ褒めてあげたい!継続はまさに力なり!!これからもっと練習を重ねて、ココア生地のバゲットなども焼きこなせるようになります。
この記事で、一人でも多くの「バゲットがうまくいかない方」のブレイクスルーをお手伝いできたらいいな~いいのにな~~~本当にそうなったら嬉しいな~~~~~と思っております。
こびと