【第21回】小林農産と農福連携

「農福連携」という言葉を聞いたことがありますか?
農福連携とは、
“農福連携とは、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組です。”
(引用:“農福連携とは”.農林水産省ホームページ. https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/noufuku/noufuku_toha.html,(2023年7月25日).
また、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保にも繋がると期待されています。
 今回は小林農産が取り組む農福連携についてお話します。

(1)農福連携のきっかけ

 もともと「農福連携」という言葉は里山保全活動を始めたことから聞いたことはあったのですが、詳しくは知りませんでした。農福連携に興味を持つきっかけとなったのは、保全活動を行うなかでSNSを通して知り合った方々が農福連携の活動をされていたり、農福連携について紹介されていたりしたことです。
 それから私自身の里山でも何かできることはないかと考え、思い出したのが定年まで勤めた会社で行われていた物品の寄附活動でした。勤めていた会社の名誉会長が児童養護施設の賛助会員となっており、バザーで販売する品物などの寄付を会社で募っていました。
 施設の存在を思い出した私は、農福連携のはじめの一歩として、まず施設の子どもたちに小林農産へ来てもらい、収穫体験を行ってもらうことにしたのです。
その後も交流は続いており、里山で採れるブドウやミカンの提供も行っています。
 喜んでくれる方々の笑顔を見て、福祉分野への貢献がもっとできないかと考えるようになりました。

(2)現在の農福連携の取り組みについて

 児童養護施設との交流をきっかけに、小林農産では現在下記の取り組みを行っています。

①果樹の収穫
 福祉法人に小林農産の里山にある果樹の収穫を依頼しています。収穫したものは全て提供し、福祉法人にて加工品に使用し販売もされています。果樹の収穫などは普段はなかなかできない体験のため、皆さん楽しみながら作業を行われています。

②恵みの提供
 甘夏みかんは、収穫作業をおこなったものは全て提供しているのですが、福祉施設でジャムやジェラートなどに加工してもらい販売してもらえるように、収穫した恵みの提供もおこなっています。

(3)農福連携のこれから

 現在は果物の収穫や収穫したものの加工品製作などを依頼していますが、今後果樹の世話や野菜作り、里山果樹農園を維持すること自体なども委託していきたいという思いもあります。
 しかし、大規模な農業とは異なり、たくさんの種類の作物を少しずつ育てている四季折々楽しめる里山なので、依頼する作業も多岐に渡ります。しかも果樹の世話も野菜作りも複雑な工程が多く、委託してお願いすることはまだ少しハードルが高いということもわかってきました。
 なので週2日、専任として外部の方お一人に里山の世話の仕事をお願いしており、世話の方法などをしっかり経験を積んでもらっています。
今後、実際に取り組みを進めていく中で、こういった課題をどのように解決し、農福連携の取り組みをもっと活性化させていくためにはどうしたらよいかを考えていきたいと思っています。
 また、仕事の依頼という面だけではなく、福祉施設の子どもたちに収穫体験だけではなく自然と触れ合える場所としても里山を活用してもらえるようにしていきたいと思っています。

皆さんに喜んでもらえて、福祉への貢献もできる里山を目指してこれからも改善活動を行っていきます。

小林農産ホームページはこちら
https://kobarin-fruits.com/