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WITHコロナでも好調な外食企業・業態とは?~食事性・TO比率の高い業態開発~

WITHコロナでも好調な外食企業・業態とは?
~食事性・TO比率の高い業態開発~

皆様こんにちは、
フードビジネスコンサルタントの小林です。

2021年9月5日現在、
またも緊急事態宣言の延長が検討されているなか、
飲食店経営者様にとってはまだまだ先の見えない状況が続いています。

2021年7月時点における外食産業の市場動向と、WITHコロナでも比較的好調な業態は?

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2019年対比での外食産業の市場動向を見ても、
7月時点の数字で居酒屋33.2%とアルコール業態の苦戦はもちろん、
焼肉店などFR業態に関しても60‐80%程度という状況です。

一方、上表におけるFF業態では、
ほぼ2019年並みの水準まで業績回復しており、
WITHコロナにおける食事性・TO比率が高い飲食店の強さが窺えますが、
実際に大手チェーンの業績も好調に推移しています。

FF業態トップチェーンの1つ「かつや」「からやま」の業績動向

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こちらはFF業態のトップチェーンである、
「かつや」「からやま」既存店の業績推移ですが、
両店ともに2021年上期時点で前年対比100%を軽く超えています。
(最新8月業績では「かつや」の既存店売上が95.2%と若干落としています。)

特徴的なことはテイクアウト比率の高さです。

2020年2月と2021年上期のデータを比較すると、
「かつや」が34.4%⇒53.4%
「からやま」が43.3%⇒61%

と大幅にテイクアウト比率を向上させていることで、
既存店の業績を維持・向上させていることが分かります。

今後運営母体のアークランドHDでは、
両主力店舗におけるさらなるテイクアウト比率向上、
「からやま」の競合対策に一環として焼き鳥グリラー導入、
既存の他ブランドにおけるテスト出店と多店舗展開と、
食事業態における積極攻勢を仕掛ける予定だそうです。

こういった動向からも、
”テイクアウト比率が高い食事業態”は
昨年コロナ渦中からも注目されていましたが、
2021年に入って、比較的完成度の高い業態も徐々に増えてきています。

大手・中堅企業の”脱居酒屋”とTO比率が高い食事業態参入

魚金グループが物販・TO併設の食堂業態や、
新業態のとんかつ専門店を開発すると、

「磯丸水産」のSFPHDも、
「磯丸食堂」を展開するなど、
専門性が高い居酒屋企業の食堂業態開発が加速しています。

これまで、居酒屋から食堂業態化は多数の企業が取り組みつつも、
単に店内メニューを定食化しただけの店舗や、
低価格なだけでそれほど定食としての集客力がない店舗など、
ほとんど上手くいっていないというのが実態でした。

それに対して今年以降開発されている業態では、
商品自体のコスパも高く集客力があり、
テイクアウト強化の形もしっかりと設計されています。

こういった専門性が高い飲食企業からも
食事・食堂業態の開発を進められるなか、
独自性がある業態開発を進めるためのポイントを、
コロナによる外食産業の変化とともに以下整理していきます。

WITHコロナにおける外食企業経営で重要なポイント

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まずそもそもコロナが外食産業に与える影響を見てみましょう。

当然、多くの方がご認識されている通りで、
外出・出勤機会の減少で消費地は自宅周辺に移行し、
利用動機もグループからパーソナル、ファミリーなど少数グループに移行します。

また、圧倒的な低価格化や店舗訪問時の付加価値など、
わざわざ店舗に訪問する目的がなければ選ばれなくなる、
という点がコロナ前以上に顕著化しています。

この点、当然店舗・商品自体の価値訴求が必要となるなか、
パフォーマンスの向上や来店前に価値を伝えるブランディング
などの重要度はより増していきます。

さらに非接触型のビジネスモデルがエンドユーザーに定着するなか、
オンラインで完結する注文・予約などについては
差別化や価値訴求がより困難になっていきますので、
来店前・非来店時のCX向上をどのように設計できるかが非常に重要となります。

いずれにしてもこういった条件を抑えた業態開発が重要になりますが、
業態開発時に最も重要となる立地と利用動機に関しては、
大手企業のなかでも明暗が分かれる結果となっています。

牛丼チェーン各社の業績から見る、WITHコロナの立地・利用動機選定

ここで牛丼チェーン各社の業績状況を見ていきましょう。

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上図ご覧のとおり、
繁華街中心に出店してきた「吉野家」「松屋」が苦戦するなか、
郊外にもバランスよく出店してきた「すき家」が
コロナ渦中でも善戦しており、業績としては明暗が分かれています。

背景には、後発で郊外中心に展開せざるを得なかった「すき家」が、
”郊外ビジネスはファミリー層の取り込みだ”ということで、
キッズメニューなどの強化やテーブル中心の席レイアウト、
利用動機型のプロモーションなどで差別化してきたことが、
コロナによってさらに奏功した形です。

このように、
これまで繁華街・単身・ワーカー中心に成長してきた業態でも、
郊外・ファミリー集客の重要度が増してきているということです。

この点を踏まえて、
どういった業態が成功するのでしょうか?

”テイクアウト比率が高い食事業態”開発のポイントとは?

まずそもそも、
FF業態のこれまでの変遷と今後の動向から整理してみましょう。

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郊外エリアでの出店が前提になるため、
比較的多くの顧客層に利用されやすい、
いわゆるMSが大きい(=競合も多い)商材を
主力に据える必要はあります。

ただ一方で、今後こういった食事性が高い業態が多様化期に入るなかで、
先行するFFチェーンとの差別化・棲み分けしなければいけません。

この点、
1)集客・主力商品のコスパ向上
2)高価格帯への付加価値商品のラインナップ
3)実演性や本物感訴求による来店価値向上

などの価値訴求が重要になります。

また、前述の「からやま」がグリラーを導入し、
「焼き鳥」を付加することで、競合対策しているように、

4)独自化できる準主力商品の付加

によって、集客力が高く買いやすい主力商品と、
他社と差別化しやすい準主力商品の2カテゴリー展開は、
比較的わかりやすい業態の組み方になります。

また、上記から原価率の構成比を高くなりがちなため、
調理・ホールの人件費圧縮は重要となります。

この点、単品かつショットオペレーションで、
(追加注文やテーブルサービスが少ない)
モバイルオーダーや券売機と相性がいい業態ですので、

5)セルフ・非接触型のオペレーション構築

は、特のこのご時世しっかりと進めたいところ。

そして最後に、

6)中食需要の獲得

が、こういった日常食事業態では重要になりますが、
単なるテイクアウト対応だけでは需要を取り込めませんので、
テイクアウト窓口や専門スペースの設置、
テイクアウト専門商品の開発などは注力しましょう。

ここまで、WITHコロナの食事業態開発のポイント
について記載してきましたが、
実際にこういった点を抑えて成功されている店舗を見ていきましょう。

人口2.5万人の地方町村で月商850万円達成したFF業態

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例えばこちらの天ぷらFF業態。
元々和食・宿泊業を運営していたクライアントが、
コロナによる売上減への対応として出店された店舗です。

こちらの店舗は昨年コロナ渦中に出店され、
月商850万円TO比率50%を実現されました。

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業態開発に意識された点としては上記の通り。
そのなかでも、
1)郊外におけるファミリー集客の強化
2)集客商品のコスパアップ
3)調理実演
4)テイクアウト専門スペースの確保
5)付加価値化できる商品カテゴリー付加

といったところに取り組むことによって、
大手業態とも差別化できる業態開発に成功。

このように、地方の中小・中堅企業であっても、
ポイントをしっかり押さえることによって、
集客性・持続性の高い業態開発を行うことが可能です。

最後に

さて、今回はコロナに強い業態として、
TO比率が高い食事業態開発のポイント
についてお伝えさせていただきました。

ただ一方で、
いずれの業態を開発するにあたっても、
単に全国で成功している商材・モデルに取り組むだけでは、
瞬間的に集客したとしても、持続性のない事業となってしまいます。

この点、重要なことは、
時流適応×長所伸展
で業態開発を行うことです。

時流としてはシンプルで、
中食需要の増大、郊外・ファミリー消費の伸長、
非接触型ビジネスモデルの定着などです。

一方こういった時流に対して、
自社の長所や特徴を活かした業態開発を行うことで、
しっかりと持続性の高い事業開発に取り組んでいただければと思います。

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