7月の読書・上
写真はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
蝉が鳴き始めたら、梅雨明けです。暑い日々が始まりました。
景品でもらった電気圧力鍋が結構便利で、調理中に部屋があまり暑くならず、助かっています。(調理中にその場を離れられるのもとてもいい。)
久しぶりにたくさん読めた月なので、感想を上・下に分けます。
「させていただく」の使い方
「させていただく」という言い方に違和感を覚える人も多く、いわゆる「誤用」のお話かと思って読んだら全然違って面白かったです。
敬語というのは、敬意漸減という宿命から逃れられず、「させていただく」についてもまたしかり。すでに違う言い方も見られるようで、興味深かったです。
言葉って人間関係にもとても影響を受けるものなのですね。
堤未果のショック・ドクトリン
なんか、大げさすぎる言い方が目に付いた。
例えば、マイナカード。著者の、違和感を訴える主張はわかるのだが、こういう言い方だとかえって突っ込んでいる側のほうが怪しく感じてしまう。
この本が主張している、政府の公共事業の丸投げ、丸投げ先のまたもや丸投げ。その中間でいわゆるお友達企業が美味しい汁を吸っているのは、すでに国民の中では常識のようなもの。なのでここまであおって主張する必要があるのだろうか?と思ってしまった。
あと、地球温暖化対策については、待ったなしだと思います。著者が賛同している考えは、非科学的かと思う。こういった言い方で主張しなくても、環境のためとうたって、かえって環境に悪になる事業へのツッコミはできるだろうに。
公共の利益を考えずに、甘い汁を吸うやつを許さない!という主張には基本賛成できるのだが、ちょっとこれはなあ~といった感想です。
大阪
私は、関西住まいだが、大阪住まいではない。生まれたところは、大阪のすぐ隣であったけれど、大阪ではない。
大阪を愛してやまないお二方なのかなと思って読んだのだが、案外そういうわけではなく、たどり着いたところが大阪ではなかったかもしれない、たまたま大阪だった(岸)大阪で生まれ育ったけれど、今は大阪に住んではいない(柴崎)ということらしい。
しかし、大阪での暮らしを書くということは自分のことを書くというだけではなく、暮らした街を書くということである。お二人それぞれの暮らしから、大阪という街が浮かび上がってくるようなのがよい。書かれている時期は、日本がものすごく勢いのあったころから、徐々に元気をなくしていく、いわゆる失われた30年ということもあって、すこし寂しいかんじもする。
けれど、所々に見え隠れする大阪の風景がとてもいい。
あと、装画と、装丁がすごくよい。
ずっと表紙だけ眺めていられるくらい、よい。
ここちよさの建築
まあまあだったかな。建築というものを自分の暮らすところとくっつけて考えたことがあまりなかったので、少し視点が変わったと思う。
かわうそ堀怪談見習い
とりたてて、何も特筆すべきことがないような日常に潜む怖さ。淡々と過ぎていく日々の中で、起こるちょっとした怪異。
主人公が忘れていることとは?
連作短編のようで、長編のようでもあり、その中で怪異が少しずつ顔をだしたり、隠れていたり、で不思議な世界だった。
(そして、最後やっぱり怖いです。起こった出来事も怖いし、なんか忘れてるな~と思いながら暮らすのも、自分にとっては怖いです。)
面白かった。これがきっかけで柴崎友香さんの作品に興味を持った。