松本_街

推しと独身OLのいえ探し

夭折の画家フェチ、推しの画家は松本竣介。
ヲタクと自称するにはインプットが浅くて恥ずかしいお年頃である。

今回は、自分が住んでいる家をどうやって決めたかを書こうと思う。
今の自宅には、2018年12月に引っ越した。
駅徒歩7分、スーパー近めの6畳のワンルームマンションというごく普通の物件だ。

はじめの候補は酒が好きなため千ベロができる赤羽だった。

結果、いまわたしは推しが生前住んでいた地域に近い池袋にした。

***


独身OLの想像力は豊かだ。巧みに人生の逆算、逆引きを行っていく。
そして一度考えたことがあると思う。
「自分だけの意思で住みたい街を選んで住めるのは今しかないのでは」…と。

新卒のころは職場環境を大前提にして自宅を探した。
今後はいつかめぐり合うパートナーの都合に合わせることになるだろう。
パートナーのいない今こそ自由に家探しができる、今やるしかないのだ。
そういった意識に駆られて私も家をさがしをはじめた。

そして、実際の家さがし開始前。
酒関連のイベントスタッフをしているほど酒好きということと、会社へのアクセスがいいということで赤羽が第一候補だった。
赤羽の物件情報を緑とオレンジのポータルサイトで探していたが、ふと気づいてしまった。

わたし、推しが住んでいた地域にもすめるぞ・・・?

当時30平米2Kのマンションに住んでいたため荷物を減らし、20平米の家に住めれば、都心に近づく上に家賃も今とそう変わらない。
何せ、今後家を探すときに「推しが70年以上前に暮らしていた街で追体験がしたいの」と言って受け入れてくれるパートナーなんているのだろうか・・・?

そうおもった瞬間、すっぴんで池袋の不動産に駆け込み、物件探しを始めていた。

家のスペックや駅徒歩分数、最寄り駅ではなく、この町名がいいと熱弁する客は初めてだったのだろう。
同い年ぐらいのカウンタースタッフはだいぶ戸惑っていた。

だが、仕方ない。
私は推しを感じられる土地に住みたいのだ。

推しのアトリエがあった場所、特高に見張られた場所をピンしたGoogleマップを片手に私は希望の地名をとにかく連呼した。


第一希望は、推しのアトリエがあった場所だったのだが、個人的に住みたいスペックではなかったのであきらめて(これはもともとGoogleマップで覚悟済み)何個か候補を出していただき、生活利便性と特性を踏まえて今の自宅になった。

結果、住んでいるのは隣町にはなるのだが、毎日通勤のたび、推しの住んでいたエリアを通って職場に通う。
とても気持ちがいい。
しゃんと一社会人、一市民であろうと思える。

心なしか前に住んでいた町より空気も美味しい気がする。
前の家は川沿いだったから生臭かったというのもあるのかもしれないが。

住んで1年。
推しを感じられる街にくらして大正解だった。
最近は推しの作品を見に行く頻度も学生時代より下がっているが、推しのことをふと考える機会は増えた。

東京で独身でOLをしている甲斐があったものである。
引き続き、楽しく暮らしていこうと思う。

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