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中東和平へ、日本とヨルダン|気になる中東
ここ30年ほどの中東情勢を見てきて私が実感するのは、結局軍事力は何の解決にもならないということだ。サダム・フセインを倒してイラクが平和になっただろうか?ビンラディンを殺してテロが無くなっただろうか?より深刻な状態を生み出しているだけだ。
今も鮮明に覚えている衝撃的な9.11テロ(2001年)。日本人のビジネスマンにも多数の犠牲者が出た最悪のテロ行為は絶対に許せないが、ただこれも長年に渡って米国とイスラエルがアラブ・パレスチナに対して行ってきた占領政策と弾圧行為が引き金になっていることを忘れてはならない。「一度に5,000人が殺されるテロはニュースになるが、一日に3人ずつ10年に渡って1万人が殺されていても何のニュースにもならない」という言い分も聞かれた。
結局は暴力の連鎖を生み出すだけで、解決になっていない。
私に何ができる訳でもないが、日本の一有権者として、日本政府には外交と交渉により中東和平に一歩でも近づけるよう取り組んでもらいたいと願う。
パレスチナ問題に関する日本の立場は、外務省のホームページに明記されている。
ここにはヨルダン川西岸におけるイスラエルの入植活動は国際法違反であること、またパレスチナ独立に向けた領土は1967年の境界(第三次中東戦争でイスラエルが占領する以前の境界)を基礎として交渉すべきといった日本の原則的認識が明記されている。日本は歴史的に、日米同盟を基軸としつつも、中東問題においてはアメリカと一線を画し、国連決議を中心とする立場を貫いてきた。と言うか、アメリカがユダヤロビーの影響もあり、イスラエル寄り過ぎなのである。
原則通りにいかないのが国際政治の現実だが、日本には原則は原則として堅持してもらいたいと思う。
安部首相は、2018年5月の中東歴訪の折にヨルダンを訪問し、国王と会談。また同年11月にはアブドゥッラー国王夫妻が来日されている。国王の来日はすでに10回目だそうで、平均して2年に1回の来日。かなりの親日家のようだ。
中東和平問題は、近年のISIL(イスラム国)によるテロ活動を見ても、決して人ごとではない。そしてこれを軍事力で抑えることはかえって逆効果であることは間違いない。
親日家のアブドゥッラー国王とトランプ政権と距離的に近い安部首相。この二人の連携によって、少しずつでも中東和平の歩みを進められないだろうか。
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