「セイタカアワダチソウ」黄色い花穂は他種を阻害する
明治中頃に渡来した
秋に花穂を実らす草
中秋に散歩をすると、よくみかける黄色い花穂があります。それは空き地や川のそばで、当たり前のようにみかけるので、まるで昔からずっとこの地に根付いているよう感じます。セイタカアワダチソウのことです。
この記事を読んでいる人もきっと、この花穂をみたことはあることでしょう。今や全国各地でみかけるセイタカアワダチソウですが、じつは明治の中頃に渡来した帰化植物です。もとは鑑賞用ということもあり、天に向かって茎を伸ばし花穂を実らせるさまは、存在感があります。ですが、本種はほかの植物に対し、あまりよくない影響を与えるとされています。
アレロパシー物質を
根から生成して繁茂
セイタカアワダチソウは、根からアレロパシー物質と呼ばれるものを生成し、周囲にあるほかの植物の成長を阻害させます。そうして、同種の繁栄を促進させていくため、日本国内どこでもみられるようになった、と考えられます。
さらにセイタカアワダチソウは、地下茎を横走させて成長するとのこと。となると、日光がさして当たらない場所であっても、その勢力は衰えないように思えます。
かつてはハチミツを
採る花としても検討
ほかの植物にとって脅威となるセイタカアワダチソウ。人間に対しては、どうでしょうか。じつはかつて本種が「花粉症の原因植物である」とする意見も出ていたとのこと。現代ではその意見は否定されていますが、土地の利用度を下げたり、火災の要因として懸念されるなど、あまりよい印象はもたれていません。
ですが、一時期ハチミツ採取のため、本種が注目されたことがありました。「一度に多量の蜜が得られる」と養蜂家たちが自宅で育てていたこともあったようですが、採れたハチミツはさほど上等なものではなかったそうです。
ただ、本種を含め、外来種を積極的に活用していく動きは肯定的に捉えたいと個人的には思っています。ハチミツ採取ではない別の活用法がまた新たに生まれることを期待したいです。
参考文献
・稲垣栄洋(監修)『いのちのふしぎがおもしろい すごい植物図鑑』KANZEN 2021年
・小西真衣 (2010)「雑草紹介シリーズ セイタカアワダチソウ(Solidago altissima L.)」草と緑2:29-35