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「イネ」日本の食の基盤を支える穀物

2024年夏に危機
コメの品薄状態

 子どもの頃から朝食はパンで、最近は晩ご飯の献立にパスタや袋麺のラーメンを選ぶことが多いわたしですが、やっぱりお米は好きです。おすしは大好きですし、どんぶりだと親子丼が一番好きです。ご飯とみそ汁の組み合わせは、味覚から自分のルーツを改めて実感できます。

助六ずし

 それだけわたしに根付いたお米ですが、2024年の夏は各所で「コメ不足」を耳にしました。気候変動などが原因で収穫量が少なかったそうですが、農林水産省の発表では充分な貯蔵があるとされていたので、わたしはそこまで逼迫は感じていませんでした。

 ただ、スーパーなどでは本当に品薄状態になっていたので、買い物のたびに驚いていました。今はさすがに落ち着いた印象があります。完全にお米がない食卓。想像したら、かなりさもしい気分になります。

朝鮮から北九州
伝来説が有力か

 日本人であることを自覚する食材のお米ですが、ルーツは朝鮮半島や中国であるとされています。じつは日本にもともと稲作はあったとする説も存在するのですが、日本列島の稲の遺伝子分析によると、朝鮮半島と中国に高頻度でみられる遺伝子がそれぞれみつかっています。このことから、朝鮮半島と中国の双方のルートから稲作が伝来したのではないか、という説が有力とされています。

 では、日本のどこから伝来したのでしょうか。お米の産地といえば新潟県が挙げられますが、現在有力視されているのは、意外と北九州地方だそうです。朝鮮半島や中国といった大陸から、対馬海峡を渡って日本に入るルートが一番自然とみられているようです。交通の関係もさることながら、やはり四季が明瞭な日本列島で、温暖な地域から稲作がはじまったと考えると納得できます。

畑一面に実るイネ

茎の発生解明の
鍵となったイネ

 さて、2024年は「コメ不足」が叫ばれた年となりましたが、また来年以降もこうした危機にさらされる可能性は充分にあります。お米をはじめとした穀物の増産は、食糧問題に直結する課題。その解決に、イネの研究は日々進められています。

 2024年6月、国立遺伝学研究所の研究チームが米国科学誌『サイエンス』にて、イネを使用して茎が発生する仕組みを解決した、と発表しました。イネやコムギといった食糧に重要な植物は、茎の伸長によって穂の実り具合が変わります。今回の研究では、この茎の伸長に大きく関与する遺伝子とその働きを突き止めたとし、農業に「革命」をもたらすと期待されています。

穂を実らせるイネ

 個人的には、現在日本は多くの食糧を海外に頼っている一面があるので、国内の生産力が高まる研究は歓迎されるべきと思います。半面、遺伝子を扱って食材に改変が加えられてしまえば、安全面での信頼の損なわれてしまうこともあり得ると感じています。安全と食の安定化、多様化。双方を尊重した、一般市民のための食糧の研究が進むことを願います。

参考文献
・イネの茎が鍵握る 新たな「緑の革命」に期待 発生や伸長の仕組み解明、洪水耐性種や多収量も 東京新聞2024年9月15日
・(公社)国際農林業協働教会(JAICAF)「お米のはなしNo.14」 2019年

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