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上司から「デジタルマーケティングを強化せよ」と言われたときにやるべきこと

先に断っておきますが、本質的な意味で「デジタルマーケティングを強化するため」には、経営レイヤでの意思決定と推進が不可欠なので、タイトルのようなことを上司から言われたら、「まずは経営陣がその方策を示すべき」と返すのが至極真っ当なド正論の回答になります。

が、そうも言ってはいられない場合、または、自分自身がマネジメント側の人間だとするのであれば、こういう風に進めて行くのが良い、ということを本稿では書いてみます。

先日、別の記事で書いた通り、デジタルマーケティングとは「人と人を繋いでお互いにハッピーにすること」です。

本来、デジマ(以下、略します)とは、昨今の技術的なブレークスルーにより、それまで実現し得なかった「相互に求める相手を効率的に見つけること」を可能にするwin-winの手法です。

にもかかわらず、片方が不要だと思うモノを一方的に送り続けたり、既に購入済みの商品の広告に追い回され続けることが現実に起きています。

技術的な制約だったり、商業的な思惑が交錯する訳ですが、少なくともこれらは「最良の体験」ではありません。むしろ最悪の体験に繋がり、顧客がその企業(ブランド)から離反する切っ掛けになる可能性すらあります。

繰り返しますが、デジマとは人と人を繋いでハッピーにすることです。言い換えると、人と人を繋いで最良のCX(顧客体験)を作ることです。なぜなら、そうすることでwin-winとなり、企業は商品が売れ、顧客は求めている商品が手に入り、最良の体験が生まれます。結果、その企業(ブランド)は成長します。これが正のスパイラル。

デジマはその生い立ちから構造的に「テクノロジ」とは切っても切り離せない関係にあります。そのため、デジマを語る際、どうしてもテクノロジやツールの話が目立ちます。しかし忘れてはいけないのは主従関係としては、主がCXで、従がテクノロジです。

なので、「データが取れるぞ、ワーイ」ではないですし、システムを作ったり沢山ツールを入れて満足していても無意味ですし、広告出稿が最適化されるだけで満足するのも、デジタルマーケティングの本質から考えると無駄ではないですが、勿体ない話だと思います。

では何をすればよいのか

前置きが長くなりました。ここで本題である「デジタルマーケティングを強化せよ」と言われたときに何をすればよいのかに戻ります。

自社と顧客にとって最高の関係や体験をできるだけ明解に想像すること

・自社の商品(プロダクトやサービス)を利用した人(顧客)にどうなって欲しいのか?
・何を感じて欲しいのか?
・自社をどういう存在だと思って欲しいのか?
・どういう関係性になったらお互いハッピーなのか?

こういったことをできるだけ具体的に、できるだけ大勢で想像して・話し合って、書き出してみることを強くおすすめします。

この際、テクノロジやツールなどの手段のことはいったん忘れてよいです。どうやって実現するかは考えず、どういう体験や関係性が最良なのかを考えます。

そうした結果、みんなで「こうなったらいいね」に辿り着けたら最高です。

それがその企業における「あるべきCX」のはずです。そして、それがその企業におけるデジマの目指すゴールになります。

まだまだ先は長いですが、別の見方をすると、ゴールが明確になったということは、課題が明確になることであり、課題が明確になるということは、全体工程の半分は終わったとも言えると思います(時間進捗の半分ではなく難易度進捗の半分)。あとはゴールに辿り着かせるために必要なコトを考えるだけです。

思うに、多くのデジマプロジェクトがうまく行かないのは、このゴール設定で失敗しているからだと思います。

・ゴールがそもそも設定されていない
・設定されていても関係者間で合意形成がとれていない
・ゴールが短期的な数値的改善に終始している

などがよくある失敗ケースで、最も大切な「自分たちはどんなCXを実現させたいのか」ということについての議論が尽くされていない、もしくは、コンセンサスが取られていないことが敗因です。

ゴールが間違っていれば、結果がでないのは必然です。このコンセンサスがないのに、どのツールを入れるか、どのデータを分析するか、といった手段に時間とお金を投入しているのはあまりに勿体ないと言えます。

まとめ

・デジマ施策において、最優先に取り組むべきは、自社が実現したい未来 ≒ 顧客との関係性 ≒ 最良の顧客体験を明確にすること
・そして、関係者間でしっかりコンセンサスを取ること
・その上で、その実現のために必要なツールやプラットフォームを吟味する

昨今よく聞く「デジマ」と「CX」。この関係性は、目的がCXで、手段がデジマ、という整理がわかりやすいと思います。

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