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CX経営において最も大切なこと

CX経営という言葉をチラホラと耳にするようになりましたが、果たしてはこれは何なのでしょうか。

「デジタルマーケティング」以上に、曖昧な言葉として流通しているように感じます。バズワードになりつつある「CX=顧客体験」という言葉から派生して、経営戦略にその概念を注入する、というところまでは想像できるのですが、具体的にどういうことなのか考えてみようと思います。

と言いながら、いきなり答え的なことを書いてしまいます。

従業員全員が共通の「自社と顧客の最良の関係性」と「最良の顧客体験」をイメージして行動している環境をつくること

正解かどうかはもちろん分かりませんが、最も大切なことはこれしかないと思います。これ以外にも十分条件としては他にあると思いますが、これが成立していない中で、いくら他の条件を満たしていっても「CX経営」は成り立たないはずです。

経営とは、その組織を持続的にスケールさせていくことです。そのために各所でそれに繋がる判断をして行く必要があります。

つまりCX経営とは、言い換えれば、経営判断が必要な時点において、その判断基準に「CX」の観点を含める、ということです。

とするならば、その企業にとってのあるべきCXは明解でなければなりません。明解でない基準では判断などできないからです。

なので、「自社と顧客はどのような関係性であるべきなのか」「自社の顧客に同様な体験をしてもらいたいのか」を明解に、しかも、全従業員が理解し、その実現に向けて行動している状態をつくり出すのが、CX経営を推進する経営陣が行うべきことになります。

なお、大切なのは全員のコンセンサスとそれに基づく行動です。経営陣などの一部が決めた定義があるだけで、それが全社に波及していなければ絵に描いた餅でしかありません。外部のコンサルティング会社などと一緒に「絵」を考えることは可能ですし、それはそれでよいのですが、重要なのはその先で、「絵」に魂を入れて、全社に浸透させて、行動に繋げて行くためのリーダーシップがCX経営のキモだと思います。(なので「CX」に「経営」が付く)

「○○君、これからはCX経営だよ」「あとはよろしく頼む」では何の解決にもなりませんし、何も実現できません。

ちなみに、CX経営が注目されているのは、「最良のCX(顧客体験)はその企業(ブランド)を成長させる」という仮説に一定の説得力があるからだと思います。これに賛同できない場合、無理に取り組む必要はないというか、その仮説を信じて推進できなければ、効果は出ないので止めた方がよいでしょう。

追加で考えた方がよいこと

「最も大切なこと」と書いておいて追加の話をするのですが、全従業員が共通のCXゴール像を持って行動していく際の状況把握と支援の仕組みについては考えた方がよいでしょう。

具体的には、「自社にとってのあるべきCX」の実現度合いを定量化したKPI(評価基準)や、実現を阻害する要因を特定して排除したり軽減したりするための施策です。そのための権限委譲、予算、リソース、技術、評価の仕組みなどですね。これらの環境を整えるところまで整備できれば「我が社はCX経営ができている」と胸を張って言えるのではないかと思います。

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