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コラボの理由は“ネコノミクス”?満足率1位・ローソン分析

 こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

 私はベトナムで猫と暮らしているのですが、猫と暮らし始めてから増えたものがあります。猫キャラクター商品です。自分で思わず買ってしまうものだけでなく、人からもよくもらうようになった気がします。
 そして今回気になった猫キャラクター商品がこちら…!

引用元:ローソン研究所よりローソン×シモジマコラボ
引用元:ローソン研究所よりヒグチユウコさんコラボ

 どちらも猫好きの方にはたまらないコラボではないでしょうか…?
 今回はそんな「ローソン」について分析してみたいと思います!

≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫


満足率1位のローソン

引用元:ローソン公式サイトより

日本でのローソンのスタートは1975年6月14日オープンの1号店「桜塚店」(大阪府豊中市南桜塚)です。当時ローソンの親会社だったダイエーがコンソリデーテッド・フーズ社とコンサルティング契約を締結。ローソンミルク社のノウハウを元に独自のフランチャイズシステムを確立し、ローソンの1号店が日本に誕生しました。アメリカンティストを売り物にパーティーフーズを品揃えし、現在のローソンとは雰囲気の異なるお店でした。続いて同年9月にはフランチャイズ1号店となる「桃山店」がオープンし本格的なフランチャイズチェーン展開の幕開けとなりました。

ローソン公式サイトよりローソンの歴史

 ローソンのロゴ、青地に白のミルク缶マークはローソンミルク社を由来にしているそうです。

Knowns Biz調べ:ポジショニング分析 コンビニ

 Knowns Bizでコンビニ全体のポジショニング分析の「ローソン」を見てみると、認知率では「セブンイレブン」「ファミリーマート」より低いものの、満足率では1位となっており、唯一85%以上の結果です。

利用者層は?

Knowns Biz調べ:ブランド認知率・好感率 ローソン
Knowns Biz調べ:ローソン 現在購入者のデモグラ(ウェイトバックあり)

 ローソン現在利用者のデモグラ構成比をみると40代前半~50代前半が多く、特に40代後半が多く出ています。
 男女比では男性がやや多いです。

Knowns Biz調べ:ローソンの7 Journey (ウェイトバックあり)
Knowns Biz調べ:ローソンのファネル分析(ウェイトバックあり)

 「ローソン」の7 Journeyを見てみると、認知率が高く、ロイヤル層の顧客が多いことが分かります。ファネル分析では認知からの購入意向が96.2%、現在購買⇒リピート意向は98.2%とリピーターが多いようです。​​

どんな人が利用している?

Knowns Biz調べ:ローソン 現在購入者の個人価値観
Knowns Biz調べ:ローソン 現在購入者の社会価値観
Knowns Biz調べ:ローソン 現在購入者の消費価値観

 サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は"柔軟姿勢”"倹約家”"時間にシビア”な方が多いです。
 社会価値観は"トライブ重視”"自分より家族優先”“ワーカホリック”と、正反対のクラスターが並んでいます。様々な環境や職業の方に利用されているのかもしれません。
 消費価値観は"レビュー熟考消費”“トレンド・限定重視消費”“お得感重視”が高いです。

Knowns Biz調べ:ローソン 現在利用者のワードクラウド

 「ローソン」現在利用者のワードクラウドを見ると、美味しさやスイーツに関する意見が多いことがわかります。また“コラボ”の文字も見受けられます。

今回のコラボ戦略は?

コラボのキーは“猫キャラクター”?

 今回ローソンがコラボしている「シモジマ・ストップペイル」は、1970~80年代から2000年代前半頃まで、全国のファンシーショップや文具店で商品を包装する包装紙や袋の柄として親しまれていたシモジマのデザインです。コラボ商品紹介のトップにいるのはシモジマでおなじみの猫のキャラクター“メメちゃん”です。

 もう1つのコラボは独特な世界観で人気の画家・ヒグチユウコさんです。2019年に自身のギャラリー兼ショップ「ボリス雑貨店」をオープンし、定期的に作品を発表しています。ヒグチさんの作品には個性豊かな猫たちの登場が多く、猫好き特に大人気の画家です。

拡大する“ネコノミクス”

 以前から時々目にする“ネコノミクス”という言葉ですが、“ネコノミクス”とは猫が生み出す経済効果のことを指します。そんな“ネコノミクス”は現在も拡大中だそうです。
 2021年に日本国内で飼育されている猫の数は2013年以降増え続けており、2021年は前年比6%増の約894万6000頭でした。コロナ禍を機に新たに猫を飼い始める人も増え、コロナ前に比べて24%増加しているそうです。
 また猫を飼っていないけど猫が好きな方も多数存在しており、そういった猫好きをターゲットにした猫グッズや写真集、イベント、猫をテーマにしたバスツアー、猫がいる島や神社が観光スポット、猫カフェなどが続々と登場しており、猫関連の消費に繋がっています。
 2024年の猫の経済効果についてはキャットフード・医療費、猫グッズなど合わせて約2兆4941億円だそうです!
 猫関連市場の拡大や猫の経済効果の大きさに驚きますね。

Knowns Biz調べ:ペットフード(猫) 現在購買のデモグラ(ウェイトバックあり)

 参考までにKnowns Bizで「ペットフード(猫)」の現在購入者のデモグラを見てみると、40代前半~50代前半​​、男性がやや多く、ローソンの現在購買のデモグラと同じような結果になることがわかります。

Knowns Biz調べ:ペットフード(猫) 現在購入者の消費価値観

 消費価値観では“ネタ消費”と“ノスタルジー消費”が多く、猫と懐かしのコラボは猫関連市場との相性が良さそうです。
 「Domani」のネコ好きの共通点コラムでは、ネコ好きあるある行動として猫グッズの収集癖が挙げられています。猫の絵が描かれた小物や猫モチーフの雑貨など、ネコ好きな人は猫に関連したアイテムに目がない傾向があるそうです。(私もそうなので共感です)

このコラボには“ネコノミクス”が成功の後押しをしてくれそうですよね。

Knowns Biz調べ:ローソンおにぎり屋 チャンス層(ウエイトバックあり)
Knowns Biz調べ:ローソンおにぎり屋 時系列分析(ファネル・1か月ごと)
Knowns Biz調べ:ウチカフェ チャンス層
Knowns Biz調べ:ウチカフェ時系列分析(ファネル・1か月ごと)

 今回「シモジマ・ストップペイル」がコラボしている「ローソンおにぎり屋」、「ヒグチユウコさん」がコラボしている「ウチカフェ」はどちらもローソンのプライベートブランドとなります。双方のチャンス層を見てみると、30代後半や50代後半の女性が多く、猫関連市場のメイン層も多いことがわかります。
 それぞれのファネル分析を1か月ごとの時系列で見てみると、2024年4月はおにぎり屋の購入意向が、ウチカフェは認知と現在購入・リピート意向が上がっています。ローソンでは常にコラボ企画が行われているので、このコラボだけの影響ではないと思いますが、今回のコラボではプライベートブランドで取り込みたい層が重なる猫好きさんに向けてのPRも視野に入れているのでしょうか?​​

今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ

他のコンビニと比べると?

Knowns Biz調べ:コンビニ ジャンル全体 現在利用者のデモグラ
Knowns Biz調べ:セブンイレブン 現在利用者のデモグラ
Knowns Biz調べ:ファミリーマート 現在利用者のデモグラ

 他のコンビニ2社の現在利用者のデモグラを見ると、セブンイレブンは40代前半〜50代前半と60代後半が多く、ファミリーマートは40代前半〜50代前半​​と、どちらもローソンと似通った結果になってます。

Knowns Biz調べ:コンビニ3社のファネル分析

 またコンビニ3社それぞれのファネル分析を見ると、「ローソン」は認知→購入意向が一番高いため、コラボ施策の促進に繋がっているのかもしれません。そして満足率が高いからこそ、リピート意向も3社内で一番高いのだと考えられます。

Knowns Biz調べ:ローソン利用者 満足率の高い顧客の意見

 ローソン利用者でサービスに対する意見を、「満足率の高い顧客」に絞って見たところ、やはり"コラボ"に関する意見が多かったです。
 3社それぞれの満足率の高い顧客の意見を比べてみると、“コラボ”に言及している人は
ローソン 3268件中 134件
ファミマ 1615件中 40件
セブン 1264件中 13件
という結果でした。
 猫でもアニメでも、自分の好き(推し)を扱ってくれると確かに嬉しいですし、つい買ってしまいますよね!

Knowns Biz調べ:ローソンのイメージ(現在利用者)

 ローソンの現在利用者のブランドイメージでは「利便・合理性」「必要・ないと困る」「期待感・ワクワク」がコンビニ全体の平均(赤丸)よりも高く出ていました。また「話題の・流行っている」イメージもコンビニ全体の平均より高く、こちらはローソン利用者のサイコグラの“トレンド・限定重視消費”にも合っている結果だと思いました。

引用元:日本ソフト販売株式会社より【2023年版】コンビニエンスストアの店舗数ランキング

 日本ソフト販売株式会社の2023年版コンビニエンスストアの店舗数ランキングによると、1位セブン・イレブン、2位ファミリーマート、3位ローソンとなっています。Knowns Bizのポジショニング分析の認知率と同じ順位で、店舗数と認知率は関連がありそうですね。
https://www.nipponsoft.co.jp/blog/analysis/chain-conveniencestore2023/

満足度の高さの理由は“マチのほっとステーション”?

 店舗数や認知率ではセブン・イレブンやファミリーマートに次ぐ結果ですが、その中で満足率1位なのはローソンの企業スローガン“マチのほっとステーション”に由来しているのかもしれません。“マチのほっとステーション”とは「圧倒的な美味しさ」「人への優しさ」「地球(マチ)への優しさ」を消費者との約束とし、人々の購買行動の変化、健康意識の高まり、就業構造の 変化、環境問題への意識の高まりなど、人々の変化やマチの変化を捉え、店舗が存在する地域特性を見極めながらイノベーションや商品サービス強化でスピード感をもって応えていくことだそうです。
 その例の一つとして、店舗への来店が困難な高齢者の施設や企業・工場などを訪問し食品や日用品などの移動販売を実施もしています。また自治体などと連携し、買い物困難エリアへの移動販売や高齢者の方々へ声かけをする「見守りサービス」も行っているそうです。このような取り組みはローソン利用者層で多く出ていたサイコグラ“トライブ重視”にも合っています。

https://www.lawson.co.jp/company/ir/library/annual_report/2019/ar01.html
https://www.lawson.co.jp/company/ir/library/annual_report/2022/pdf/ar2022_P4-9.pdf

Knowns Bizを使った資料を見てみたい方へ

まとめ

「ローソン」利用者の特徴
・40代前半~50代前半​​、男性が多い
・柔軟姿勢・倹約家・時間にシビア
・さまざまな職業や環境の方に利用されている
・レビュー熟考消費・トレンド・限定重視消費・お得感重視

 今回のコラボは、より多くの利用者層の取り込みを狙っているのではないでしょうか。
 ヒグチユウコさんとのコラボは2回目とのことですが、約7割が女性、主に30〜40代の方を中心に購入したそうです​​。ローソン利用者が少ない層に購入されていますね。

またコラボだけでなく、利用者のサイコグラに合った取り組みや時代や環境、消費者の購買行動の変化に合わせた商品開発やサービスが認知率・満足度が高い理由なのかもしれません!

筆者のひとこと

 今回のコラボ、猫好き&懐かしいキャタクター好きにはたまらないコラボですよね…!
 ローソンは2010年頃から他のコンビニに先駆けてアニメやキャラクターとのキャンペーンを展開しており、コラボ企画数は年間30種類以上だそう!コラボ先の選定はコンテンツの勢いや、ファンの熱量をSNSのトレンドや話題性から情報収集し、映画の公開記念やデビュー記念などのタイミングと合わせて実施することが多いようです。またコラボ企画はコンテンツとそのファンの応援も重視しているとのことで、“柔軟姿勢”や“トレンド・限定重視消費”な方が多いローソン利用者にとって、今まで知らなかったコンテンツに興味を持つきっかけにもなりそうです。
 今後のコラボにも注目していきたいですね!

≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫

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