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変化が大きい時代の処方箋

 こんにちは。マーケティングの視点で読解力を高めるためのノートです。

 本連載では、「デジタル思考とデータドリブン・マーケティング」というテーマに焦点を当て、アナログとデジタルの判断の違いやデータの特性や活用上の課題、DXを推進するために必要な考え方やステップなど、ますます求められるファクトベースの変革について考えてみたいと思います。

 2020年以降のコロナ禍が、社会の変化や変革を促す要因となり、コロナ前後では、生活者の心象風景が大きく変わり、新たな常態においてその価値観も変化しています。

 生活者の心象や価値観の変化は、現商品の提供価値とお客さまの期待値との間にズレを生じさせ、そのズレ幅はデマンドサイド(生活者サイド)から小売の店頭、卸業、メーカーへと連なるサプライサプライチェーン上で増幅していき、結果的に店頭でお客さまに選択されない理由を生み出しています。

 商品が世の中にリリースされた日を頂点として、その価値が日々減少していく、変化量が多く、変化のスピードが速い時代において、価値提供側の事業主体(例えば商品開発を行うメーカー)は、どのような考え方やスタイルで事業に臨むべきでしょうか?

今回は、このような変化が大きい時代における処方箋について説明します。


1.変化対応のサイクル

 メーカーを例に挙げた場合、商品開発やマーケティングに従事するメンバーが持つべき基本的な考え方やスタイルは、「小さい変革、改善」を回し続けることだと考えられます。

 数年かけ準備した商品のリリースをゴールと捉えるのではなく、むしろスタート地点と位置付け、お客さま(購買者や非購買者)の評価を聞き取ります。また、商品開発段階で規定した自社商品の想定提供価値と実際のお客さまの評価との間にある差異(GAP)を把握することが重要です。

 その後、GAPを明らかにし、現商品が解決しようとしているお客さまの課題やライフスタイルとのズレを埋めるための修正仮説を立てた上で、漸進的な改良やリニューアルの必要性、新しい商品の導入または既存商品の改廃などの評価を実施します。

 そして、GAPを埋め、お客さまの期待に対応するためのコンセプトを整理し、新しい商品を市場に投入するまでの一連のサイクルをできる限り短い時間で回すことが重要です。

2.変化への即応(スタイル)

 変化への即応を目指す場合、求められる考え方やスタイルは、改善のインパクト量を追求するよりも、一連のサイクルが小さい円であっても、1周繋がっていることが重要です。

 大きな変革や大規模な改善には時間がかかり、ウォーターフォール型のアプローチ(事前に計画を立て、上流工程から下流にそって計画通りに進める手法)では、その取り組みの間にお客さまの期待が変わる可能性があり、追いつくのが難しくなります。

 変化する時代に対応するためには、立ち止まったままでズレを放置せず、小さな改善でも繰り返し、お客さまの期待にアジャストさせていく小規模で即応の考え方やスタイルが求められます。

 そして、最も重要なことは、商品の発売からお客さまの声を確認し、GAPを分析し、リニューアルや新たなコンセプトを体現する商品を投入するサイクルを止めることなく、継続して回し続けることです。

変化が大きい時代の処方箋は以下のような要素から成り立っています。

  • 変化対応のための一連のアクションを1周つなげること

  • 大きな変化を追わず、小さい改善を短い時間で実施すること

  • お客さま期待とのズレを埋めるサイクルを回し続けること

 このように、現在の企業や事業主体は、考えることを止めず、生活者の心象や価値観の変化を捉え、期待に応え続けるための短いサイクルを回し続けるスタイルを採り入れる必要があります。これを怠れば、競争力を失い、いずれは市場からの退出を余儀なくされてしまいます。

 こうした変化を受け入れ、変革を日常にする考え方やスタイルが、DX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれるものだと考えられます。

3.まとめ(図解)


変化が大きい時代の処方箋


 次回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)という表現を分解し、その意味合いを再定義してみたいと思います。

 ここまで、ご一読いただきありがとうございます。マーケティング視点で読解力を高めるノートでまとめた電子書籍のコンテンツも、ご覧いただけたら、幸いです。

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