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今、休職しているあなたへ。昔、休職していた私より。

誰も自分のことを知らない、縁もゆかりもない土地に行きたかった。
何かに疲れた時によく使われる常套句。言葉は、多くの人に共感され、使い古されて、常套句となる。だからきっと、過去に数えきれないほどの人々が、この気持ちを抱いたに違いない。

2017年の春を総括すると「楽しくない」だった。
毎年、春が来るとワクワクした。寒いのが苦手な私にとって、春は待ち遠しいものだった。刺すような空気がだんだん柔らかくなっていき、梅が咲き始めると、ふわっとテンションが上がった。  

だけど昨年の春は楽しくなかった。
精神を病んで働けなくなった。実家でぼーっと横になって、時々思い出したように本を読み漁る毎日。それは働いていないことへの罪滅ぼしだった。

はっきりしたきっかけは覚えていないが、「誰も自分のことを知らない、縁もゆかりもない土地に行きたかった」。
海外へ飛んで今の状況を全て捨ててしまうことも考えた。だけど、都内のオフィスに行くことすらできない私に、そんなことは不可能だ。

精神が追い詰められると神仏の力に頼りたくなるのは、きっと人間の本能で、無意識に「宿坊」とネット検索をかける。
埼玉の飯能にあるお寺へ行くことに決めた。
駅からバスでさらに1時間揺られた先の山奥に、そのお寺はある。

そこでの体験は、なんとなく神聖なもののような気がするので、ここでは秘密にしておきたい。ただ、最高に贅沢なリラックスができた。温泉でもヨガでも得られない安息がそこにはあった。

約1年後、つまり先々月、今の職場の出張で飯能を訪れた。
1年前、全てから逃げて、何かを変えたくて来た土地。今は仕事として、社会人としてやってきた。
もう二度と訪れることはないだろうと颯爽と去ったのに、1年後またやって来たのはちょっとまぬけだ。でも、すごく誇らしい。

私、働けるようになったよ。
何もできないのが情けない、悔しいって泣いてたのに、健康に社会人やってるよ。

あなたの苦しみは一生続くわけじゃない。
あなたは社会不適合者なんかじゃない。

だから今だけは、ゆっくり休んでください。自分を責めないで下さい。

周りがあなたを責め、みんな呆れていると思っているなら、それはただの思い込みです。

去年の春の私へ伝えることはできないけど、いま働けなくて苦しい思いをしている人たちに伝えることはできるから、こうして書いてみました。

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