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エマニュエル・ムレ『Three Friends』フランス、愛に悩む三人の女たち

2024年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。エマニュエル・ムレ長編12作目。物語は三人の親友、高校教師のアリスとジョアン、博物館員のレベッカの恋愛模様を描いている。ナレーターを担当するヴァンサン・マケーニュもといヴィクターはジョアンの夫だったが、物語開始時点では事故死しており、彼の視点で三人のその後を描いていると言っても差し支えないだろう。物語は一旦ヴィクター生前の、ジョアンが既に彼を愛していないことに突然気が付く時点、今から約1年前まで遡る。ジョアンはアリスに相談するが、彼女も夫のエリックとの間に愛は感じていないと言う。そんなエリックは妻の親友と知りつつレベッカと不倫しているが、アリスには言い出せていない。ジョアンは自分がもう愛していないことをヴィクターに伝えると、常に愛していることを伝え続けていたヴィクターはぶっ壊れてしまい、そのまま飲酒運転で事故死してしまった。時は物語開始時点まで進み、ヴィクターの後任教師として赴任してきたトマが近所に引っ越してくる…云々。基本的には登場人物のうち二人が会話して関係性を深め、また別の二人が…を繰り返していくスタイルで進んでいくので、それぞれのキャラクター、特にジョアンとレベッカは思考の癖まで深堀りされていて面白い。三人それぞれの挿話は興味深いのだが、"三人の友人たち"という題名の割に三人が友人という感じがしなかったので(というかアリスがうっすら空気なので)、寧ろ女性たち三人が男たちによって知り合い仲良くなっていくというプロットのほうが、個々のエピソードと女性たちの大枠のエピソードの歩調が揃って良かったのではないか。夫は愛してないけど別れないという現状について、ジョアンは"子供がいるからなあ"と言っているが、その子供は都合のいい装置としてしか登場しないというのもなんだかなあと。レベッカ・ズロトヴスキ『Other People's Children』とかめっちゃ出てきた覚えがあるぞ。

・作品データ

原題:Trois amies
上映時間:117分
監督:Emmanuel Mouret
製作:2024年(フランス)

・評価:60点

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