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Szilágyi Zsófia『January 2』ハンガリー、離婚した親友の引越手伝い

シラージ・ジョーフィア(Szilágyi Zsófia)長編二作目。彼女はエニェディ・イルディコー『心と体と』やホルヴァート・リリ『Preparations to Be Together for an Unknown Period of Time』などで助監督と務めた後、2018年に『One Day』で長編デビューした経歴を持つ。学生時代はエニェディ・イルディコーとペーテル・ゴタールの指導を受けていたらしい。ちなみに、ホルヴァート・リリは本作品のプロデューサーを務めている。物語は離婚した夫婦の引越作業を手伝うことになった妻クラーラの親友アーギの視線から、結婚生活の終焉を垣間見る。クラーラと元夫アーロンの間にはボルディとリリという二人の子供がいて、序盤で彼らが事情を知って駄々をこねるシーンの大人たちの気まずさは白眉。しかもこのシーン、三つの部屋が一望できる玄関から、四人の大人が左右の手前と奥に配置されて互いを見るという構図になっており、居心地の悪さは倍増している。そして、様々な手伝い人を乗せたり降ろしたりしながら、アーギは合計七回ほど同じ道を運転する。アーギはクラーラと、二人の思い出、アーロンとの思い出、クラーラの新恋人カーロイとのことなど様々なことを話すことで、クラーラとアーロン/クラーラとカーロイの関係性を、現在進行系で喧嘩している恋人シャーンドルとの関係性に重ね合わせていく。クラーラの物語は希望的でも絶望的でもなく、不透明な未来に対する困惑の比重が大きく、その灰色の気分は木の一本すら生えていないブダペストの街並みにも似ている。散々強調される開かない門扉も象徴的だ。

・作品データ

原題:Január 2.
上映時間:86分
監督:Szilágyi Zsófia
製作:2024年(ハンガリー)

・評価:60点

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