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ステファノ・ソッリマ『アダージョ』主人公に危機感がなさすぎでは

2023年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。ステファノ・ソッリマ長編五作目。『バスターズ』『暗黒街』に続く"犯罪都市ローマ"三部作の終章。悪徳警官バスコに圧力を掛けられて嫌々ながら乱交パーティに潜入した主人公マヌエルは、会場に仕込みカメラを発見して動揺し、任務を放棄して逃げ出す。すると悪徳警官たちまで任務を放り出してマヌエルを追い始め、マヌエルは元ギャングのボスだった父親の旧友たちを頼って追いかけっこが始まる。マヌエルの父親デイトナをトニ・セルヴィッロ、彼と確執のある男カメロをピエルフランチェスコ・ファヴィーノが演じており、現代イタリア映画の最高戦力を投入した形となるが、そもそも自分のケツも拭けない馬鹿ガキのケツを三人の老人が拭いてあげるという物語が魅力的に思えず。というか、追われてるのにマヌエル自身に全く緊張感がないので映画自体にも緊張感がない。助けを求めといてカメロのアパートから逃げ出したり、危機感もなく自分のバイクを乗り回したり。老人たちはそれぞれ見せ場があって、特にボケ始めてるデイトナが突然キレ良く動き始めるとことか、エレベーターで倒れて流れていくカメロとか素晴らしかったんだが、流石にそれだけじゃ救えなかった。あと、山火事と停電が続いてるという設定が特に必要なかったのも面白い。暑い暑いいいつつパーカー着てるキャラがいたジネヴラ・エルカン『そう言ったでしょ』よりは暑そうだったけど。

・作品データ

原題:Adagio
上映時間:127分
監督:Stefano Sollima
製作:2023年(イタリア)

・評価:50点

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